数学ができない鵜飼くんと勉強。後編

 ガチャ。

「あら2人とも、勉強は捗ってる––––」

そんな甘い空気は、母親が入ってきたことによって破壊される。開くドア、覗き込んでくる母の顔。鼻が触れ合いそうな距離の、私と聖奈。全てを察する母の顔。


「お邪魔しました〜」

うわああああああああああああああああああああああああああああああああああ

恥ずかしい。とんでもなく恥ずかしい。ずっと仲良かった幼馴染とキスしそうになったところを母親に見られた。聖奈の方をチラッとみると、反対方向を向いていたが、耳の先まで真っ赤なのがわかる。先ほどまでの甘い空気はどこへやら、2人の間には、ただ沈黙と気まずさがあるだけだった。そこにさらに追撃が来る。


「お父さん〜そろそろ孫の顔が見れるかもしれませんよ〜」

「ん!? どういう事だ!?」


 私の部屋から離れた1階の方から、父親と母親の話し声が聞こえる。優しい声で、恥ずかしいこと言ってるのが母親。展開に追いつけていないのが父親だ。もういっそのこと彼らのことは気にせず、勉強を再開しよう。そう思い、なんと言うか考えていた時。

「べ、勉強しよっか。さっきはごめんね」

「そ、そうだね。私こそごめん」

私たちは、恥ずかしさや気まずさを誤魔化すように、勉強を再開するのだった。




微かに入ってくる風と、夕暮れの日。隣の男子の呼吸音、シャーペンが滑る音。全てが心地よかった。母親乱入から約1時間。2人とも1時間前のことはきっぱり忘れて、勉強に集中している。だが、そろそろ聖奈が帰る時間がやってくる。私は少し疲れが出てうとうとしていると、聖奈に声をかけられる。

「大丈夫? 眠くなっちゃった?」

「ふぇ? あぁ、ごめんごめん。ちょっとうとうとしちゃってた。」

「ふふっ、優奈が勉強中に寝てるのみるの珍しいから新鮮だな〜」

「まぁ確かにそうかもね〜」

私が、うぅ〜。と背伸びをした後、ローテーブルの上の紅茶を飲む。この紅茶は聖奈が茶葉を持ってきて淹れてくれたものだ。これを淹れに1階に行った時両親に質問責めされたらしい。怖かったのか、涙目になって帰ってきたので、頭を撫で慰めるとすぐ回復した。この紅茶、とてとてもいい香りがする。少し口をつけると、上品で、甘い香りが鼻を抜けていく。美味しい。私が少しぼやけた頭で紅茶を飲んでいると突然。

「俺のひざ使う?」

「え!? ヴッ、ゴホゴホ」

あまりにも突然のことだったので、紅茶を吹き出すのだけは避けたが、期間に詰まってしまった。私が聖奈の膝枕を使うって事だよね? ちらっと聖奈の太ももあたりを見る。とても。そう、とてもとても寝心地が良さそうだ。


脳内会議、開始!


天使「また母親に見られたらどうするの! 我慢しないと!」

悪魔「使いたいなら使えばいいじゃないか! 眠いんだからさ……」

作者「使ってくれた方が作品的には嬉しいなぁ」

読者「どうでもいいから早よ先見せろ」


 会議終了! 途中から脳内会議じゃなくなった気がするがいいだろう。

「聖奈、ちょっとだけ使わせてもらってもいい?」

「うん! もちろん! ちょっとドキドキしちゃうけどね……」

「聖奈。そう言うこと言わない。使いづらくなっちゃうから。」

「あ、ごめん」

聖奈の太ももあたりに頭を乗せる。あぁ……極楽浄土だ……どこからかわからないが漂ういい香り、太ももの柔らかい触感。聖奈が優しい手つきで私の頭を撫でてくれている。これは、眠って……しま、う……



「おやすみ、優奈。大好きだよ。」












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作者の馴鹿谷々です。更新の頻度近況ノートに書いたのに投稿できなくてすいませんでした。どうかお許しを今回ちょっとふざけてしまったところもあったり、読みづらいところも多々あると思いますが、これからも応援よろしくお願いします。

膝枕のところ、詳しくは今やってるっぽいイベントの限定近況ノート的なやつに書きたいと思います。そちらもチェックよろしく!それでは親愛なる読者諸君!

サヨナラ!

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