第2章:ここから始まる

第4話:いざ、告白の時

 絵星は深呼吸して、口を開いた。


「蒲本さん、君に伝えたいことがあって呼んだんだ。最初に出会った時は髪長かったのにバッサリ切っちゃったの……ずるいよ。髪短めの子がタイプだからそう思っちゃったのかな? でもだんだん、君のことしか考えられなくなった。だからね――」


「?」


「貴方のことが好き。こんな俺だけど、付き合ってくださいっ!」


 やっと言えた。照れくさいけど、真剣な眼差しで夢叶に伝えることができた絵星。夢叶が抱きついてきた。


「いいよ。めっちゃ嬉しい。これからもずっとよろしくねっ……って、呼び方変えよっか。」


「うん。夢叶、好きに呼んでよ……夢叶だけ特別。」


「えへへ。そうさせてもらおっと、絵くん。」


これからはカレカノの関係だ。ここからスタートだ。そして別れてから、絵星は啓太に報告の連絡を入れた。


 翌日、仕事を終え帰る支度をしている夢叶に、


、蒲本ちゃん!」


と啓太が声をかけてきた。夢叶は何の事かと一瞬思ったが、そういう事かと察した。


「あ、ありがとうございます。」


「あいつからのお願いで、相談には乗ったけど決めたのはあいつ自身だ。俺はただ話聞いただけだ。まあ、従業員とお客さんって関係だったのがこうなるとは思ってなかったな。蒲本ちゃんが初めての彼女なんだと。お手柔らかになー。」


「そうですね。橋渡くんもうすぐ大学4年生ですしこれから就活とか……忙しくなりそうですし。困らせないように努力します!」


 帰宅後、スマホを見ると絵星から何か来ている。


『お仕事お疲れ様。昨日会ったばかりなのに、寂しくなっちゃった。どうしたらいいのかな?』


勝手が分からないのは、仕方ないことだ。


『毎日少しずつでもこうやってお話しようよ。いてくれるんだなって思うと安心するんだよね!』


夢叶はそう返事すると、夕ご飯の支度に入った。


(デートしてみたいなぁ。まずは、次の休み電話してみようかなぁ。)


 夕ご飯と風呂を終えると、絵星から返事が来ていた。


『安心かぁ。俺は夢叶がいてくれるだけで安心だよ。ねえ夢叶、次の休みの日電話したいな。声聞きたいなぁって。』


絵星も同じことを考えていたのだ。まだ2日目なのに一心同体だ。


『私もそう思ってた! 絵くん、やろう! もうにやけてきちゃった……。』


『そんな夢叶が可愛いよ。』


すぐ返事が来て、またにやける夢叶。きっと絵星も幸せ感じているんだろうなと思っていた。


『夢叶、初めて会った時に血液型聞いてきたよね? 何で聞いてきたのかなぁってふと思って調べてみたけど……もしかして?』


『うん。血液型の相性1番だって。O型男とB型女が。あの時は私そんなこと知らないで聞いちゃったけど、今思えば――』


『今思えば?』


『今思えば、付き合う前からこんなに仲良くて、話しやすくて。いつまでもこんな毎日が続けばいいなぁって……絵くんと相思相愛だね。何だか。』


 次の休みの日、待ちに待った電話だ。アニメの話はもちろん、色々な話をした。絵星はそういえばと夢叶に尋ねる。


「夢叶、このゲームってやってる?」


「うん、やってるよー!」


スマホのアプリゲームの話になった。


「俺、そんなにやってないけどフレンド登録してもいい?」


「いいよー、ID送っとくね。」


その後、夢叶はグループLINEに誘われて参加。そこには啓太だけではなく、月輝や佑仁もいた。十何人のグループだ。


 電話が終わると、絵星からお礼の言葉が届いていた。


『夢叶、今日はありがとう。これから4年生になって勉強はもちろんだけど就活も入ってくる。迷惑かけないように頑張るから、ずっとそばにいてね。』


そんなの、当たり前じゃん。夢叶はそう思いながら、


『ずっと離れません! 授業始まってバタバタするだろうし、絵くんが落ち着いたらデートしたいな? いいー?』


と返事した。


 この恋は始まったばかりだが、夢叶はワクワクしていた。絵星がまだ知らない一面を見せてくれることに期待している。


『いいよー、夢叶と休みが合えばだね! 近いうちに職場に顔出すつもりだから、その時でも少し話したいな。』


『わかった〜何日か教えて?』


お互いにこうして会える幸せを噛み締めていた。

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