桜の木

ミエリン

桜の木

あるところに、小さなお城がありました。お城の中には美しい庭が広がっていて、その中には一本の大きな桜の木がありました。


そのお城に住んでいる王さまは、非常に貪欲な人だったため、庭の中にある桜の木を所有しようと考えていました。しかし、桜の木はとても立派で、どうしても手に入らないのです。


ある日、王さまは庭に見知らぬ老婆がいるのを見つけました。老婆は自分が魔法使いであることを告げ、王さまに取引を持ちかけました。


「私があなたに桜の木を一本くれる代わりに、あなたは私にお城を譲ってくれませんか?」と老婆は言いました。


王さまは、桜の木を手に入れるためにはこの取引を受け入れるしかないと思い、しぶしぶ承諾しました。


すると、老婆は杖を振りかざし、魔法の言葉を唱えました。すると、王さまのお城は一瞬で老婆の魔法のお城に変わってしまったのです。


王さまは驚きましたが、老婆は言いました。「あなたのお城は私に譲ったので、あなたには桜の木を一本くれる約束を果たします。」


老婆は再び魔法の言葉を唱え、お城の中から美しい桜の木が現れました。桜の木は夜になると光り輝き、周りに優美な花をふりまきました。王さまはその美しさに感動し、自分の欲しさからくる過ちを悔いました。


そして、王さまは心から老婆に謝罪しました。「私は貪欲でした。お城は元のように戻してください。代わりに、この桜の木をあなたに差し上げます。」


老婆は王さまの謝罪と悔いを受け入れ、再び魔法の言葉を唱えました。すると、お城は元の姿に戻り、王さまは桜の木を持って自分の庭に戻ることができました。


その日から、王さまは貪欲な心を捨て、庭の桜の木を大切にしました。そして、毎年春には、お城の庭には美しい桜の花が咲くようになりました。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

桜の木 ミエリン @mie0915

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ