呪い5 変化【ENDING】
悪魔は7歳くらいの少女の姿をしていた。
私はパンケーキを薦める。
「ふん!」
がつがつがつ。
う。
悪魔もスイーツ食べるんだ。
あの。
「我は『
え。
「魔法を取り込む。1回だけ撃ち返せる」
あ。
伝説の赫嵐響奇や千閃万華ですら死ぬ。
強いのか。蔵。
「無念であった」
はあ。
名前は?
「ガレンド=ガレンド」
いえ。
生きてた頃の――
「しゃぁっ!」
ひっ!
「ふん」
あ。
「契約するまでは明かせない」
え。
「我が喰ったことのある魔法全てを渡そう」
不可能。
それは無理なはず。
「悪魔を侮るか」
いえ。
魔法理論的に。
「ふん!」
きっと私が正しい。
良くて魔法が1個増えるとかだわ。
+
マハエルだ。
殺人事件の犯人か。
ナイフだったと聞いている。
うん。
解決せずに帰るのは気持ちが悪い。
かと言ってな。
うん。
ふーん。
うーん。
利益を得たのは誰だろう?
当時17歳の少年か。
被害者は
ふん。
そもそも。
どうして私に依頼した。
遠いぞ。
+
マルセリータだ。
悪魔か。
あー。
弱い魔法使いを騙して、身体を乗っ取るというアレか。
いや。
所詮、悪魔も負け犬魔法使いだし。
放置してて良い。
そう教わった。
サリーに。
+
ルクツォーレだけど。
9色タニシか。
あー。
昔絵描きに会ったわ。
そうね。
レッド
パープル
ブラック
グリーン
ブルー
ピンク
イエロー
オレンジ
ホワイト
この9色で画布を埋めなさい、という戒めなのかも。
変に凝った色を使うより、原色で勝負しなさい。
原色って言葉、ソイツに教わったのよ。
画家か。
記憶力良いから、人によっては邪魔になるかも知れない。
+
ラッキー=カザーネードだ。
娘のことは信用している。
尊敬していると言って良いかも知れない。
ただな。
好奇心の強い性格なのが、見え見えなのだ。
ちょっと面白い話題を振れば、すぐ喰い付く。
うん。
親の私はネタ切れしたが。
うむ。
ふむ。
うーむ。
あー。
海底モグラ団を潰した程度で、いい気になっていた、過去の私を殴りたいな。
+
マハエルだ。
推測出来た。
養子だったのだろう。
姪を狙い出した。
死んだ祖父母だ。
被害者の義両親ということでもある。
私は伯爵家への縁談を仲介した。
強請り。
私、大金持ちだからピンと来なかったが、あの人の立場だと、これを警戒するんだな。
真相に気付いたら始末。
気付かなかったら、あの件どうなりました? で、金の話ストップ。
これか。
あ。すっきりした。
んー。
どうしよう。
官憲も今となっては、伯爵夫人の肩を持つだろう。
困ったな。
逃げるにしても隊商の都合次第でなあ。
+
ユーノアです。
ユーディルとラルナか。
これ、やっちゃいけないことリストなのでは?
タニシを料理する。
お前はラルナか。
料理店に行こう。
ユーディルかよ。
魔法具を失くす。
ラルナかよ。
奴隷に料理を振舞う。
ラルナ、あれ恨まれてるぞ。
強盗をする。
フォアグラを食べたがる。
ドラゴンを飼う。
冒険に出る。
あー。
冷えた食べ物を温めるも追加で。
そうか。
やっちゃいけないことが、大衆娯楽なのですね。
あー。
困る。
わたし、もう神官では無いのに。
+
フランよ。暇。
そっか。
ザックさん。私たちが、どんな気持ちで冒険してたかなんて知らないか……。
お金目当てにしか思えない、か。
つらい。
好きなのに。
+
ノノです。
私、
ザックさんが他の女を守ることに、耐えられるかしら。
あの想い出。
冒険者?
ゴミのような仕事。
だけど、初めての冒険で、運命の夫を拾った。
こんな幸福と快楽、他の女に知られたくない。
私だけの冒険。
物語。
色褪せさせたくない。
生涯1人の夫。
あえて心を離れさせれば、また繋がりたいと思える。
永遠に永遠に。
手に入らない夫を焦がれていられる。
恋の炎。
21歳で、ようやく。
もう戻れない。
永遠に恋の奴隷でいたい。
SLAVE OF ONLY LOGIC LOVE。
私が最初に見つけたの。
それを振りかざすしかない私。
ザックさん。
私に飽きて?
格上でいて。
お願い。一生の。
+
マルセリータだ。
ザックと、お散歩をしていた。郊外の。
何故か、護衛はセシリアだった。
「なあ、ザック」
「はい。殿下」
「この草、何?」
「? あー」
分からないのか。
変な草だった。
黒いつぶつぶ、これ種かな。
「食べてみます」
「え」
山羊なの? お前。
「苦!」
そりゃ草だし。
「? いや、でも何か」
「?」
「匂いがするような?」
?
「あー」
セシリアが変な顔をした。
「ザック様!」
「何」
「ウチの仲間で魔法を知っているのは?」
「アネッティアだけ」
「よろしい。では、このセシリア=エミルルが2番目ということですね!」
「?」
何だ。
「草よ――お前の正体を教えろ。野草判定【ANALYZE PLANT】」
はあ。
何と言う地味な魔法だ。
こういう女が悪魔になるのか。
「む?」
「何」
「この草、名前が無い」
「はー」
ただの草か。
「いやー、それが」
「?」
「種を
「はー」
ザックは何か考えていた。
「セシリア」
「はい」
「お前、プリン好き?」
「……普通」
「だよな」
なのだよ。
美味しいのだけど、あの卵の匂い、勘弁して欲しい。
ん?
「その甘い香りのエキスの作り方、分かる?」
「はいはい」
「試してみないか。こんなに生えてるし」
「そうですね。増やしておきましょう。草よ――繁栄せよ。活力草【FARMER SKILL】」
死ぬ程、どうでも良いな。セシリア。
ドラゴンが攻めて来たら捨てて逃げるか?
…………。
ザックは、この草をバニラと名付けた。
…………。
どう考えても、女の名前。
お前、何人捨てた。
ログバモスの姫として看過出来ないが。
もうフレオーライなんだよなあ。
+
サジドだよ。
ワータリ村は平和だねえ。
もっと冒険者来ないかねえ。
あ?
ザックの幼馴染?
結婚しようと約束してたのに、裏切って畑持ちと結婚した、あの子かい?
バニラと言った。
旧姓はバニラ=ゴールデンビッグフット。
バニラ=ライオダルクなんて素敵な名前だと思うのにねえ。
やはり金か。
世の中、そんなものさ。
+
マルセリータだ。
こんな美味しいプリンは初めて食べた!
山盛り持って来ーい!
?
イシュリアがアムリタに相談を始めた。
セシリアに猫撫で声を使っている。
はー。
確かに儲かりそうだな。このバニラエッセンス。
クッキーなんかにも良いかもな。
+
マハエルだ。
解決出来なかったお詫びに、ポエムを捧げて町を去った。
こんなのを。
天使は、いずれ猿になる
男の天使より女の悪魔
こんなの常識に決まってますわ
うん。
さらば。ルンルンダンパ国。
寄り道しないで、養父母の待つデルハエルに戻るとするよ。
+
「お前……」
「あなた……」
ドロップ伯爵家。
人殺しの孫の私が。
しかも22なのに。もう。
「どういうこと」
「あー……」
考えた。
「息子のしつけは、しっかり」
「なるほど」
「女の子は、よそに出す」
「なるほど」
「強く育てろ」
「なるほど。本当に優しい人だった。マハエルさん」
ありがとう……。
ごめん。叔父さん。
いえ。
よその家のガキ。
私は幸せになりたいの。
さようなら。
+
マハエルだよ。
モフモフヘヴン侯国でリアナに出会った。
「あの……」
「ふん?」
自分から魔法を明かして来た。
冒険者なら魔法の師匠を知りませんか?
へー。
こっちが魔導学院長官と知らないな?
そんなことを言う魔法使いは、いない。
「あのな」
「はい」
「私が結婚したら、夫の愛人になってくれ」
「え」
「魔法具化したら、いくらになるか!」
「え」
私は実の父のことを含めて、身分を全て明かした。
+
失敗した!
リアナを人殺しに出来なかった!
産まれて来るのか!
あのマハエルの娘として!
しかも兄と姉が1人ずつ!
おのれおのれおのれ!
+
ガレンド=ガレンド――敗北。
+
教皇キャサリヴェールである。
裏バイブルの内容。
特別に披露しよう。
お前がマニュアルを書くんだよ。
この1行のみ。
ああ。
我と同じくらい苦労した先人がいる。
美しい。この世界。
よろしい。我も無名のままに死ぬ。
小役人Aで結構。
何たる至福か。
マニュアル野郎大嫌いの同志たちが、こんなにもいた。
歴代の教皇
愛しております。
生命を全うしたいな。
馬鹿どもとは違う、という所を見せつけるために。
光か炎の理由?
8本腕にあやかってだ。
対外的な評判が、もっとも高いのが、この2つである。
+
マハエルだよ。
リアナは私をお姉様と呼ぶ。16歳。
いやー。
大儲け。
いい響きだ。
金は払うな。
希望を見せろ。
これが人を使うコツなんだ。
+
イシュリアよ。
商会の未来を考えたら、エンチャンター50人くらい産みたいなあ。
いや、ファイターでも魔法使いでも、どっちでも良いんだけどさ。
ザックが一夫一婦で1年間子作りしない?
あり得ない。
どんどん抱いて。女の子。
+
サララです。
妹がゴミゴミ言われてムカつくので、もっと弱いセシリアさんの魔法を紹介します。
野草判定【ANALYZE PLANT】
活力草【FARMER SKILL】
植物施療【PLANT DOCTOR】
樹上跳躍【HOPPING IDOL】
毒毒花【PRETTY POISON】
何の役に立つの、お前!
街路樹なんてねーのよ!
+
イシュリアなの。
悪魔ガレンド=ガレンドがモフモフヘヴン侯国でマハエル=ズツェンに敗北?
何これ。
ルルララ。分かる?
「さっぱり……」
+
ルルララよ。
悪魔?
いるのね。
アジリアなら信頼出来るかな。
んー。
あー。
駄目。
お嬢様のお部屋に上がれるの私だけ。
聖域なの。部屋って。
モフモフヘヴン侯国か。
地図を見る限り、後30日位か。
+
カザーネードである。
吟遊詩人が来た。
「祖先の武勇を讃えさえてもらえませんか」
ほう。
ああ。
あのセシリアは天才であったな。
「もう良い」
「はあ」
「直接命を救われたわけでもないのに、我が祖先を称賛されても困る」
「は?」
まあ。
銀貨50枚、奮発してやった。
縁切り料だ。
+
セシリアだ。
我が夫を讃える歌。
孤独 孤独 また孤独
だけど誰かを助けるために
今日も熊をやっつける
ごめんな お前が美味しくて
肉を喰う 皮を剥ぐ
売り付ける 偉い人に
俺は偉くないけれど
皆と同じならそれでいい
やれやれ。
うん。
こんな人だ。
フラン。
この人を理解しろ。
フォルティマもアネッティアもルクツォーレもブレシーも。
エリカは、何かしんみりしてた。
アイツの過去知らね。
てか、ぺらぺら昔を話す奴って怪しいし。
自分に酔ってやがる。
神に、そんなこと言わないだろう。
人にも言うな。
私は吟遊詩人だ。
醜い人間が許せない。
英雄を称賛しない人間が許せない。
+
マルセリータだ。
先祖を讃える?
はあ。良いが。
本人を褒めてやれよ。
私は、そう思うが……。
変か?
+
マリーです。
殿下……。
ああ、もう殿下じゃないのか。
いやー。
下々に、自分の活躍が知られてるって怖くありません?
「あ」
ね?
「やるぅ」
「あんた妹」
エリー、サリー。
旦那を共有か。
分かり申した。これが女の運命だ。
+
ふん。
あの、へぼ詩人が来た。
ふん。
何か言いたいのか。
ふん。
情報を売りに来たのかな。
ふん。
「この公国の民衆を讃えてみてくれんか」
「え」
「あー、いや」
どうするかな。
駆け引きのつもりはない。
しゃべりながら考えているだけなのだ。
正解は自分でも分からんから。
「我が部下たちを讃えて欲しい」
「は?」
「使用人たちに、支えられてこその貴族なのだ」
「…………。ご立派に、ございます」
「うむ」
やはり密偵か。
どこの国だ。
+
ユーノアです。
ユーディルとラルナの続き。
「しかし、あなた。私たちは金持ちです。家を空けたら乗っ取られる」
そうか。
金を払って、ドラゴンの方に来てもらうか。
「いいですね。しかし、ドラゴンは、はした金では動きませんよ」
分かった。
ゴブリンの肉を、ドラゴンの肉と言って売ろう。
「なるほど」
ただし、証拠が残る。
内臓と骨。
「なるほど」
これはネクロマンサーに払い下げたいな。
骨も金にしよう。
「素晴らしい!」
笑えないんですけど。
何? この、お話し……。
+
サララです。
えっとね。死ぬのが怖い。
伝説になってからでないと死ねない。
人々に忘れられるのが怖い。
夫は、こう言いました。
「あー……」
「何」
「忘れるも何も」
「は?」
「誰も俺たちのことなんて知らない」
ですね。
教皇キャサリヴェールとやらも、マリー、エリー、サリーちゃんに聞くまで知りませんでしたし。
イブニーやルルララも。
有名人らしいのですが。
知らねえよ。
こっちはコルノルドの町だ。
+
ルクツォーレよ。
タニシも衣装って言葉を知ってるかしら。
+
ノノです。
タニシソウルはバーニングソウル。
ちっぽけな物ほど、プライドは高いということわざです。
+
マルセリータだ。
信念は人によって違う。
んーと。
いい言葉だと思っていたが。
これギズーファウス批判ではないか?
あー。
うん。
いや。取り締まれないが。誰の言葉か知らんから。
+
マリーです。
うーん。セシリア様。
マルセリータ様を讃える歌を――
「アウト」
え。
「王族は讃えちゃ駄目なの」
は?
「腐る」
あ。
かしこまりました。
プロなのね。
+
ノノです。
女の英雄譚?
…………。
別に。
どんな美女も美少女も、肝っ玉母ちゃんになることが勝ちなのです。
熊になれ。
夫にだけは、犬と思われていれば、それで良いの。
+
イシュリアよ。
はい。
ノノさんを第1夫人として認めます。
猫は浮気者だから駄目。
物足りないと思われる位でいいの。
離れている時間の方が長いから。
猫は放っておいても平気だけど、犬を放置するのは罪悪感。
再会した時、嬉しそうにすり寄って来るのは犬。
何度でも、別れと再会を繰り返すの。
これが愛なのね。本当の。
+
マルセリータだ。
ザックに能力を明かしてみた。
マリーたちは、ようやく信じたが。
ザック。
お前は何が欲しい?
「あー」
金?
案内出来ん。
金が欲しいって、ぼーっとした願いだから。
心からの願いでないと駄目。
「欲しいと言うか」
?
「どこかに、もっと困ってる人が、いたりしない?」
あれ?
反応あり。
?
何か洞窟の奥だな。
え。
洞窟があるの?
このデルハエルの近くに?
+
男の天使より女の悪魔
+
フランです。
あー。
後はノノさんの補給。
戦闘は無さそう。
ユーノアさん待機。
回復?
要らない。
ルルラルカさん。灯は使えない。
イブニーさんは灯光【THE LUMP】って魔法があるけど。
「マルセリータ。それは人間か」
「? んー」
「私の亡者滅殺【GHOST LULLABY】使うかも知れない」
はい。
光の魔法使い2人も要らないな。
攻撃魔法?
私とルルラルカさんで不足はないよ。
アネッティアもブレシーもエリカも待機。
魔法教えてないけど。
「…………」
何。ザックさん。
「いや、手慣れてるね」
あはは。
冒険に憧れてまして。
「そっか」
あはは。
げらげら笑ったりしない。
やっぱり良い人。
と言うわけで。
ザック。
マルセリータ。
ノノ。
フラン。
ルルラルカ。
この5人で決定。
何とかなるわ。
女なのかな?
+
サジドだよ。
あー。
聖女ミシャハート様の伝説かい。
はあ。
あー。
何か喰うかい?
そうかい。
他の宿、探したら?
民家に。
酒もない村で悪かったね。
いやいや。
郷土愛を侮蔑されるって応えるね。
ここから出たことのない年寄りには。
何か喰うかい。
+
フランの炎が洞窟を照らす。
「何用ですの」
(え)
蛇だった。
下半身が。
上半身は黒のシックなドレスだった。
彼女は若く美しい。
興味が無さそうに俺たち5人を見ていた。
「ようこそ。メリュジーヌの冥界迷宮【DANGER HOME】へ」
コイツは――
「それ、もらいますわ」
え。
「
フランの灯の魔法が盗まれた。
「夜目は利くんですけど、絵が描きたいんですのよ」
「絵?」
「ええ、この洞窟。絵の具が無限に湧いて来ますの」
は?
「ただし、完成品にしないと3日で腐る。わたくしの才能を信じて、
何で、こうなった。
「次からは、先頭の殿方1人で、お願いします」
困る。
俺はノノさんに、保管倉庫【GATE DEMON】の魔法を見せてもらうよう交渉した。
「あら」
返答は――
「許可。それも、もらうわ。継承魔言能力【COPY SPELL】」
彼女の人間だった時の名前は、ミシャハート=グリムバードらしかった。
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