祈り 鎮魂歌【YOU GUILTY】

 忘れてた。

 風の魔法使いとは限らない。

 魔法具で、私の独り言を聞かれた可能性もあるんだ。

 うーん。

 歌魔法か。

 いや。

 イブニー。

 お前が眠らせたソイツの住所教えろ。

 +


 分かってるのか。

 私、神官見習いだぞ。

 魔法使いなんて悪評流されて。

 殺す気か。

 いや、説教したいだけ。

 殺さないよ。

 私が人殺しに見えるか。

 ギズーファウスを侮辱するのか貴様。

 どうしても言わないのか。

 分かった。

 あなたの態度は憶えておく。

 教会を敵に回したと認識しろ。

 許さん。異教徒め。


 +


 まあ。

 仲間を売るのが世間の知恵という奴でな。

 教会に来てくれれば和解だ。

 どうなるかな。

 ふん。


 +


 王様に奉納した。

 土地の記憶【REPLAY SOUND】。

「サイロズ陛下でなければ、民は安心出来ませぬ……」

 いやー。

 司祭長腹芸。

 ま。

 王様の兵士が魔法具持って、街を歩いてたら目立つ。

 この方が良い。

 羅針盤型の魔法具だった。

 結構、大きい。

 手柄手柄。

 私の。


 +


 首が繋がりました。

 ふむ。

 官憲に貸し出すべきと進言したいのですが。

 アイツらも独身ばっかりだしな。

 未婚の女性か、新婚の家庭に踏み込みますよ。

 あーあ。

 マトモな男って、いないのでしょうか。

 ね。冒険者ABCD。


 +


 エリカ。旅立ったらしい。

 冒険者か。死んで欲しくない。

 好きだったのになあ。アイツ。聞き上手で。


 +


 オグフィス、メリクツェルへの恋が冷めたのかしら。

 責任を感じていたのよ。

 ちょっとだけね。


 +


 うーん。

 私、オグフィス。

 葬礼無礼【DEAD AND MORE DEAD】が欲しい。

 でもなー。

 呪われてそうなんだよ。

 屍の魔法が込められた剣か。

 禁忌。

 危ないんだろうな。

 でも――

 だから、欲しい。

 ウズウズする。

 王家の宝物庫に忍び込める盗賊なんて、いてたまるか。

 土地の記憶【REPLAY SOUND】の持ち主?

 縛り首だよ。

 近隣の住人は、我々がかばった。

 貸し。

 いや。

 本当に知らなかったんだから、貸しではないなー。

 なー?


 +


 コルネイル=ダガックを知る老人がいました。

 栗色の髪をした、若い剣の達人だったそうです。

 私とアジリア、オグフィスが、

 ザック、ノノ、ユーノアさんと会うまで――

 ノノさんは黒髪。

 ユーノアさんは、栗色の髪をした少女でした。


 +


 あのな。イブニー。アジリア。

 エリカ。群骸操演の伝承に詳しかったんだ。

「それで?」

「何」

 あのな。

「肉体没収【CURE MYSELF】」

 という魔法が、あったらしいんだ。

「…………」

「…………」

 そりゃ禁忌になるな。屍の魔法。

 これがメリクツェル様の同僚か。15歳か。

 タメか。

 憧れは憧れで良いんだ。うん。

「メドゥーサに、そわそわ餅」のたとえも、あるしな。

 メリクツェル様。

 愛してました。

 そわそわ餅か?

 いわゆる媚薬。


 +


 コルネイル=ダガック。

 フレオミアという仲間がいた。

 朝起きると、隣室で死んでいた。

 傷跡はなかった。

 俺は剣士だ。

 疑われた。

 好きだったと言うしかなかった。

 釈放された。

 今でも分からない。

 俺の仲間を殺したのが誰なのか。


 +


 私はシャクーセル=ギガ。

 罪工幻匠と呼んでくれても結構だ。

 魔力とは何だと思う?

 悪魔って、いると思うかい。

 人の魂は、どこに行くと思う?

 神か。

 軽い言葉だ。

 気休めだ。

 役に立たん。神など。

 私も神クリエイターと何度呼ばれたか。

 安臭いんだ。神という言葉。

 対して悪魔。

 これは簡単には使えない。

 人を悪魔呼ばわりするのは覚悟が要る。

 うん。

 いや、すまんね。

 仮説Aだよ。

 まだ何も分かっていないんだ。

 おい。聞いてるんだろう。

 この記憶、消していい。

 その代わり、アネッティアを守れ。

 取引だ。


 +


 お宝は欲しい。

 だけど、在り処が分からなければ、どうしようもない。

 仕事仕事。

 ふーん。

 あー。

 酒が美味い。

 いつ隠居出来るだろう。

 結婚かよ。

 ふーん。

 人を殺す夫が良いのかな。

 人を殺せない夫が良いのかな。

 あー。

 迷うな。

 このエリカ=アリマとあろう者が。


 +


 ライラナという仲間が出来た。

 フレオミアがいたから、声をかけられなかったらしい。

 子供が産まれた。

 ユーノアと名付けた。

 …………。

 教会に捨てろと言われた。

 理由は言えない。

 俺はコルナスを名乗るようになった。

 ああ。

 魔剣が欲しい。

 葬礼無礼【DEAD AND MORE DEAD】か。

 アレは強い。

 陛下に預けておく。やむなし。

 どの程度の剣ならば、あの嫉妬深い大衆の目を誤魔化せるんだ?


 +


 うーん。

 8本腕を知らない田舎者扱いされた。

 4大神を知ってりゃ、それで良いだろ。

 神聖ログバモス王国は、ギズーファウス信仰の本山だ。

 舐められて面白くない。

 喧嘩はしないが。

 8本腕?

 どの程度だよ。

 将軍か。

 怖いが。

 んー?

 大陸統一?

 分裂してるじゃないか。この通り。

 分からん連中だ。

 俺はザック=ライオダルク。

 運命なんて分からない。


 +


 あー。

 これが婿か。

 あのな。ライラナ。

 だな。お前もそう思うか。

 席次が下が1番強いのだ。

 バランスのためだ。

 人事というのは、そういうものなのだ。

 つまり。

 フレオーライが最強。

 娘か。

 まあ、第2夫人で上々だろう。

 旅を楽しめ。

 地獄を見ろ。

 楽しめ。

 成長を。


 +


 うーん。

 あの5芒星のペンダント。

 魔法具に見える。

「あのー」

「何か?」

「それ、触らせてもらえませんか」

「え」

 私は、

 彼と目を合わせた。

(魅了魔眼能力【AID ME】)

 私の名前はルージェイラ=ロギン。

 父を殺すために生きている。

「ああ、触る位なら」

「ありがとう」

 あ。

 本当に魔法具だった。

 虚ろにほへと【SLEEP】?

 う。

 死ぬほど強い。

 欲しい!

「ザックさん!」

「え」

 あ。

 女が。

 しかも2人。

 って。

 ギズーファウスの見習いかよ。1人は。

 これ便利。

 知識欲【ANALYZER】。

 これ、誰が考えたんだ。

 属性魔法使いなら誰でも持っている力。

 触った魔法具の効果を見抜く。

 これを魔法具化する?

 どんな天才の発想だ。

 優秀だけど。

 もっと上の魔法具と、交換するんじゃないか? という予感がある。

 皇帝テオシドを倒したいのよ。あの薄汚い父親を。


 +


「あなたは……」

「何でもありません。じゃあ!」

 すたすたと去る。

 何ですの、あの女。ザックさんに。

 足速いですわね。女なのに。

「あのー……」

「いや……」

 あ?

 何を、どぎまぎしてますの。

 ユーノアさんに。

「何してたんですか」

「いや、何か触らせてくれって……」

「これをですか」

 あ。

 さりげなく触ったわね。ユーノアさん。

「え」

 …………。

 びくんとしてる。

 この反応。

 やっぱりか。

 何の魔法使いです。

 場合によっては――


 +


 黒髪の女。

 あれ?

 まさか闇の魔法使い?

 ギズーファウスの神官なんかと行動してて良いの?


 +


 どうしよう。

 隊商の護衛なんか怖い。

 私、お嬢様だったの……。

 フラン。守って。

 あの大嫌いなヴェルギースのサメの杖に頼るしか無いなんて!


 +


 妻のライラナか。

 罵倒換金能力者【BE POLITE】。

 効果。

 無礼な者に対して周囲が悪感情を抱く。

 じわじわと効果を発揮する。

 子供には妻の怖さが分からんらしい。


 +


 うーん。

 アネッティアな。

 男が怖いだけでしょう?

 うーん。

 困ったな。

 性転換して結婚してあげたいくらい。

 旦那なんか要らないし。

 ふーん。

 あのね。アネッティア。

 あなたの使える中で1番弱い魔法って何。

「あ」

 嫌なら良いけど。

「嗅覚強化【SMELL HUNTER】……」

 はあ。

 風か。

 えーとね。

 風だけの魔法ってある?

「他にも、いくつか……」

 うん。

 風の魔法使いを名乗ればいいの。

 炎は明かすな。

「分かった……」

 OK。

 風なら平気。

 

 +


 ほう。

 あのフランが人を護るようになるか。

 しかもアネッティア=サリーカを。

 美味。

 いやいや。

 あの娘、面白いな。

 面倒な役割と思っていたが。

 悪くない。

 これからも我を呼べ。

 後2回「ありがとう」だが。

 ま。

 そこまで追い詰められることは、もはや無さそうだ。

 最強であるしな。

 アネッティア。

 くく。


 +


 ま、いいわよ。

 8本腕なんて名前だけ。

 姿絵が残ってるわけでも無いし。

「そっか」

 偽名と思うかもね。

 どっちでも良いわ。

 侮らせておくの。

「うん」

 ふぅ。


 +


 あら。

「やあ」

 マハエルさん。

「ノノさん」

 どうしました。

「あー」

 フォルティマさんは?

「別の町」

 あなた1人で何を。

「ぷらぷらと」

 魔導学院の長官というのはフカシかしら。

「あー」

 失礼。

「待って」

 ?

「あのさ」

 ?

 鬱陶しいな。

「これかぶってくれ」

 ?

 嫌だ。絶対似合わない……。

「まあまあ」

 はあ。

 あら。

 心と心【HONEST】?

 …………。

 言われた通りにしました。

「私は魔導学院長官だよ。嘘ではない」

 反応無し。

 本当なのか。

 こちらも嘘がつけないか。

 強い魔法具だ。それでも。

「実はね。窃盗があった」

 はあ。

 何を。

「依頼人の意向で秘密」

 ふーん。

 ?

 絵画ですか。

「どうして、そう思う」

 嘘はつけないのか。

 先祖の肖像画とかなら、面子にかけて取り戻さないといけないでしょう?

 貴族なら。

「青い」

 はあ?

「代わりに自分の絵を飾らせるチャンス」

 はあ。

 そういうものですか。

 んー。

 窃盗ね。

 人間?

「すまない。失踪という言い方をする。嘘発見に引っかかる」

 でしょうね。


 +


 ふん。青い。

 私は一言も嘘を言っていない。

 嘘発見の魔法具だと、分かるはずがないのだが。

 この世間知らず。

 闇に金貨3000枚。


 +


 うーん。

 魔法具?

「正解」

 うん。

 ああ。

 それは言えるわけありませんわね。

 魔法具を探してるなんて。

「そう」

 ?

 何を言いたいのかしら。


 +


 青い。

 街中で「魔法具」などと言うな。

 良いがな。

 誰も立ち止まってないし。


 +


 これなあ。

 色が青でなければ盗みたい。

 私の黒髪に似合わない……。


 +


 ふーん。ま、どういう魔法具か推察するのは無理か。

 青いと言わないでやろう。

 限界か。


 +


 んーと。

 メイドに共犯者がいます。

「お?」

 その魔法具で、攻撃される恐れもあるんです。

 近寄れません。屋敷に。

「だろうな……」


 +


 あらら。

 あー。

 私より年上かな。この人。

 16歳位かなと思っていたが。

 20過ぎ?

 青いのは私か。


 +


 んーと。

 男爵だとしたら子爵。

「ほう?」

 男爵家風情が生意気だ。

 伯爵より上には、突っかかりません。

「分かった。アイツだ」

 はい。

 でも、どうやって?

「依頼人に今の推理を言う。あのさ、お礼だ」

 はい。

「カザーネード公国に行くことがあったら、娘さんの知り合いですと名乗って良い」

 え。

「公爵の妾腹なんだ私。養子に出された」

 あ。

 嘘は無し。

「返してくれる?」

 はい。

 あー。

 切り札になるのかしら……。


 +


 青いな。

 最後まで私の罠に気付かなかった。

 で。

 あの青年は、始まりの魔法使いらしい。

 神官見習いの子か。

 布教の旅に出ろ?

 悪待遇。

 しかし、まだ信仰を捨てていない。

 並の魔法使いなら、開き直って冒険者になるのに。

 んー。

「力」かな。

 ま、訊いても知らないだろう。

 ノノさんは。


 +


 ザックさん。

「何」

 あの。

 これを見てください……。

「?」

 力よ――かいなに宿れ。げき演譚えんえき【POWERFUL YOU】。

「え」

 ザックさんの両腕に魔力が宿る。

「わたし、魔法使いなんです……。力の魔法……」

「はあ……」

 どうして言っちゃったんだろう……。

 この人と一緒にいたい。

 ノノさんが、いなくなればいい。

 だけど――

 あの人がいないと。

「えっとな」

 はい。

「昨日、風呂屋に行ってから」

 ?

「忘れ物して、もう1回、店に入ったろう?」

 え。

 何で……。

「あー。ここまで」

 あの。

 何なの。

 ザックさんも……魔法使い?


 +


 始まりの魔法使いか。

 ユーディリス、メリクツェル、ヴェルギース、ライオネルしか伝わっていない。

 ザックの能力を探るのは無理だ。

 どんな能力があるんだ?

 私の虚言感知能力【TRUTH KEEPER】以外に。

 殺される。これ。

 悪党に。

 民衆に、始まりの魔法使いの秘密を教えるわけにもいかん。

 いやー。

 誰も疑わない。

 心と心【HONEST】を使って、2重に擬態しているなんて。


 +


 うーん。

 あの魔法具惜しかったなあ。

 この知識欲【ANALYZER】、接触型の魔法具なのよね。

 貴族の庫から、お宝盗みたいけど。

 メイドな。

 アレ、かなりエリートの家系なのよね。上手くすれば、爵位持ちとの結婚も狙える。

 うーん。

 メイド・ルージェイラか。

 同性は魅了出来ないから無理ね。


 +


 母はメイドだった。

 私を養子に出した後、正妻が変死して正式に妻になったと聞いている。

 養父母は嘘を言っていない。

 まあ。

 半信半疑だった場合も、私の能力には反応がある。

 真実なのだろうな。

 母か。

 メイドか。私は。

 うーん。

 弟妹がいるのだろうか。

 んー。

 まあ、どうでもいいが。

 何かを忘れている気がする。

 だけど、決して思い出せないという確信がある。

 ふーん。

 ノノ=フォノーツか。

 闇なら貸し作れるな。

 魔導学院で飼うことで。


 +


 あ。

 青い。私。

 正妻が変死か。

 病死なら病死と書くな。手紙に。

 つまり。

 父か母のどちらかが毒殺した。

 義母を。

 うーん。

 何で気付かなかったんだろう。

 青い青い。

 どちらにせよ、私も人殺しの血統か。


 +


 セシリア=エミルル。

 カザーネード公爵家に来ました。

 我が祖先の武勇を歌え?

 知らねえし。

 うーん。

 何すれば?


 DEMON DEMON BLACK WING

 DRAGON KINGDOM ALL DEAD

 WE ARE FIGHTER WANNA BE KNIGHT

 PEOPLE PEOPLE MY CHILD

 GO THE HEAVEN

 GOD BLESS YOU

 WE KILL DEMON

 FOR THE YOU

 WE LOVE YOU

 BE HAPPY

 WE WARRIOR

 NEXT WARS

 WE WILL WIN

 BUT OLD

 HEY SON

 BE STRONG

 FOR MY WORLD

 WE LOVE WORLD AND YOU


 いやー。

 こんな分厚いステーキ喰わせてもらって良いのかな。


 +


 さて。

 子爵家からの依頼は片付いた。

 やっぱり、あの伯爵だった。

 メイド。

 慰み者。子爵の。

 あーあ。

 どうにもならん。

 歳取ったら、捨てられるんだろうな。

 それとも毒殺するかな。

 うーん。

 どうしよう。

 どうしようもないか。

 裏切者は救わない。

 これを徹底しているだけで、世の中は割と乗り切れる。

 私も青い。

 まだまだだ。

 さてと。

 後は王家に匿名の手紙を出そう。

 メマーメ子爵が落花流水【WATER BLADE】という魔法具を隠し持っていますよ、と。

 ただし、バレないように。

 うーん。

 いや、駄目だ。

 手紙は私の字だと分かる。

 ふん。

 つまり。

 パグーテ伯爵家に手紙を出すのだ。

 王家の安全のために、子爵の武器を取り上げたかったのです。

 こうげんじょうしろと、そそのかす。

 うん。

 責任取って、メイドさんと結婚してあげなさい。


 +


 街で噂になってる。

 どこだかの子爵家が、取り潰しになったって。

 ユーノアさんは、俺のことを遠巻きにする。

 まあ、仕方ないのか。

 故郷のアイツとも、こうなってたのか。

 能力を教えたら。


 +


 私だとバレないよ。

 パグーテ伯爵は、自分で考えたことです! で押し通すだろうからな。

 手紙は隠す。もしくは燃やす。

 まったく世の中、青い連中ばっかりだ。


 +


 ザックって言ったっけ。アイツ。

 そう言えば、剣も持ってなかったな。

 私ですら短剣で武装してるのに。

 んー?

 あれ?

 同類?

 …………。

 困ったな。

 女の子2人は、違うと見るべきかしら。

 虚ろにほへと【SLEEP】は知ってるの?

 んー。

 声を上げた黒髪の方が怪しい。

 私16歳だけど、あの2人何歳だ。

 黒髪か。

 闇の魔法使い? まさかね。

 もう1人は神官見習いぽかったけど。

 えーと。

 ギズーファウスとガンダディスどっちだろう。

 一瞬だったから分かんない。

 あー。

 私、ギズーファウスなんだけど。

 もし再会して、

 あの若い方がガンダディスだったら、

 先祖代々ガンダディスですで押し通すか。

 ま、無いけどね。

 大陸は広い。

 良いのよ。

 平信者なんだから。


 +


 情報を売るか。

 青い。

 真偽が定かではない。

 確認するのに時間がかかる。

 無いよ。

 盗賊ギルドなんて。

 冒険者ギルドも無い。

 ギルドね。

 はん!

 たかが受付ごときに、分け前渡せるか。

 裏で、依頼人と直接交渉する。

 ピンハネ野郎、死すべしだ。

 青い。ああいう連中。

 働け。


 +


「あのさ。どこかの子爵家が潰されたんだと……」

 ザックさんの情報提供にピンと来ました。

 マハエルの受けていた依頼だと。

 あー。

 まあ。

 ユーノアさんは当然として。

 そうですわね。

 店の主人にも言ってみますか。

 この街の住人ですし。

 お世話になっていますから。

「ああ。男爵家なら子爵家か。名推理だな」

「本当です!」

 あらら。

 ユーノアさんに好かれたっぽい。

 ようやくか。

 こんなに頑張ってるのに。

「子爵家を伯爵家がか……」

 ザックさんが変な顔をしています。

 何?

「いや……」

 だから何。

「こういう活躍って、歌に出来ないのかなって……」

 はあ。

 別に。

 ゴブリン1匹、倒してませんわ。

「まあな……」

 ふーん。

 変な人。


 +


 ゴブリン ゴブリン SMALL YOU

 BUT STEAL OUR CHICKEN

 NO FOOD NO LIFE

 NO THANK YOU HUNGRY

 MONSTER NEVER

 BUT MURDER IS OUTLAW

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