第21話 臨時職員会議
………………………………一体、どうなっているのだ?
サッカー部と野球部、新入部員含めた全員が警察に連行され、釈放された直後に行方不明となった。
それどころかOB多数が消息不明となって、その数は今も増え続けている。
教職員も運動部担当が多数、未だ連絡が取れていない。
にも関わらず、家族も含めた関係者全員が捜索願いなどの対応を取っていなかった。
これだけの消息不明人数でも、ニュースにすらなっていない。
それが何を意味するのか、これからわかるのだろうか?
臨時職員会議が招集され、指定した時間にも関わらず数十人が現れなかった。
「………………………………時間だ。臨時職員会議を始める。はじめに、学園長からの通達がある。」
学校長の宣言で始まる『職員会議』。
ここでの決定事項が『絶対』である事は、職員であれば周知の事項である。
上座に現れた初老の御婦人は、学園長。
………………………………初めて『見た』。
組織図上に存在はあるものの、公には一度もその姿を現したことは無いはずだ。
「サッカー部と野球部は、『その存在』を全て抹消します。個人組織を問わず、学園の歴史から全て消し去るということです。」
挨拶や前置抜きでの宣言に、参加者全員が息を呑んだ。
学園長が、続けた。
「今この場にいない教職員も同様に、抹消されます。通達は以上です。」
部員がサッカー部と野球部で合計百名余り。
職員会議に参加していない教職員が二十数名。
その全てが消し去られる。
「何故だ?認めないぞっ!」
発言の主の運動部統括担当主席を全員が冷ややかな目で『見下ろす』。
この学園での『通達』は、『職員会議での決定事項』を上回るのは関係者なら誰でも知っている事。
つまり、この件での『行方不明者』や『異義申立者』は元から存在しないものとして扱われるということだ。
………………………………あ〜、アイツ、『終わった』な。
この場の全員が、同じ事を思ったことだろう。
ソイツは直ちに学園長の傍らに控えた警備員に『おとなしくさせられてから』連れ去られ、以後誰もその姿を見ることは無く、存在も消し去られた。
学園長が立ち去った後を学校長が引き継ぎ、連絡事項が告げられる。
「月曜日まで臨時休校とします。火曜日から通常の授業を始めます……………………」
あ〜、ホントに無かったことにするんだ〜と思いながら、ほとぼりが冷めるまでおとなしくしていようと誓ったのは私だけでは無いはずだ。
会議の最後に緘口令が敷かれたのは、言うまでも無いだろう。
先程の異義申立者の末路を間近で見ていれば、緘口令を破るものはいないだろうな。
作者より
まだ何もしていなかった新入部員が『行方不明』になるのはかわいそうかなと思ったのは、私だけでしょうか?
学校ってホントに閉鎖的で、あらゆる不始末や犯罪を『無かった事』にするんですよね。
思い出したら、腹が立ってきたぞ!
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