第13話 火付けは死罪?

俺と陽菜と、当主様じいさんの三人での、夕食。

食後の雑談の後、気になったので聞いてみた。


「陽菜を襲った強姦魔達はどうなりましたか?」


「警察に引き渡した後、何故か逮捕すらされずにすぐに釈放された。お前に玉を潰された奴らはそのまま病院行きだな。」


「その後でしょうか、行方不明とお聞きしましたが?」


「知らん。釈放された後のことは、聞いておらんぞ。」


関係ないと、言うことですね。


「陽菜の他に、拉致されていた子がいたようですが、何か聞いてませんか?」


爺さんは、悪い顔をして、話し始めた。


「サッカー部と野球部の部室に、新入生が一人ずつ閉じ込められていたそうだ。」


「救出、間に合ったのですか?」


「その様に、聞いておるが。」


あ〜、そのお顔は、間に合わなかったのですね。

俺が警察を待たずに部室に突入していれば、間に合ったのかな?


「その二人は救出後、どうなりました?」


「吉羽と六平の孫娘だったそうで、どちらの爺さんも大層お怒りでな。」


それって、もしかして、太一のお友達の関係者と言うことですかね?

後で太一に確認しておこう。


「サッカー部と野球部の部員が多数行方不明の様ですが?」


「知らん。吉羽と六平の爺さん達は、大層お怒りの様子だったがな。」


爺さん?『お怒り』を繰り返すなんて、お顔が怖いんですけど!

陽菜が同じ目に会ったような想像でもしたのかな?


「ん?陽菜、どうした?」


「……………………今年入学の吉羽と六平の孫娘だったら、私の親友!」


「……………………そうか、次に会えたら、ちゃんとフォローするんだぞ?」


「……………………そうだね。」


陽菜が落ち込んでいると、家令の吉羽さんが部屋に入ってきて爺さんに耳打ちして何かを伝えたら、爺さんが頷いて、


「陽向、お前の家が放火されたそうだ。既に消火済みで、犯人と見張りの全員を確保してある。」


あ〜、これ、今日の『事件』の続きかな?


「消防と警察に通報は?」


「必要ない。」


ん〜、また、犯人は、全員『行方不明』になるのかな?


「我が家の裏口でも、放火しようとした犯人と見張りを確保したそうだ。どちらも全員、高校生位の若者のようだが。」


ある意味、万全のセキュリティを敷いてある祖山家と佐海家に火を放とうとするなんて。

ホントに、命知らずだな?

火付けは死罪と、江戸の昔から決まってるんだぞ!


知らないから、命なんか要らないから、そんな事が出来るんだろうな。

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