第3話 狂犬?
「よっ、久しぶりっ!」
呆けていると、不意に後ろから肩を叩かれた。わかっていても振り向いて返事を。
大げさに両手を広げながら、
「ああ、久しぶりだな、太一よ!」
「何だそりゃ、ところでさっきの可愛い子は、お前の何なのかな?」
「やっぱりそう来たか。幼馴染みだよ、腐れ縁の。」
「幼馴染みだってか!羨ましいぞ、今度紹介しろよ。」
「交換条件で、友達になれそうなヤローを紹介してくれれば、考えなくもないぞ?」
太一の女友達は、間違いなくギャル系だろうからな。俺は陽菜みたいな清楚系が好みだし。
だったら、男友達を紹介してもらったほうが間違いなく良さげだからな。
「なんだ、女の子紹介じゃないのかよ。お安い御用で、お〜い、
呼ばれて振り向いたのは、入学式前に太一を囲んで話していたうちの二人だった。
「紹介するよ、こいつ、道場と塾が一緒だった佐海陽向、コッチは俺と同中の吉羽健と六平良だ、よろしくな!」
「はじめまして、ん〜、お名前から想像するに、強そうだな、あらゆる事に。」
「お察しの通り、二人ともいいところの後継ぎだぞ。それに、強いぞ。」
「マジか〜、二人ともよろしくな。俺は庶民だけど。佐海陽向だ。」
「えっ、佐海陽向って、あの、『狂犬』?」
健と呼ばれたいかにも格闘技やってそうな体格のイケメンが、ガタイに似合わず怯えたように問い掛けてきた。
「あ〜、極一部でそんな呼ばれ方もされてるみたいだな?」
「よろしく!六平良だ。どういうことだ、『狂犬』って?」
細マッチョな感じの彼からも尋ねられたので、
「あ〜、俺はこんな体格でもソコソコ強いみたいだから、変な渾名が付いたみたいだな。」
「良は剣の道一本槍で、格闘技は興味ないから知らないかもな。コイツ、格闘技界では極一部で狂犬として知られてるんだ。」
「「「なにそれ怖い!!」」」
「……………………陽向?何でお前まで声が揃うんだ!」
「いいじゃないかよっ!じゃ、早速だか、陽菜を紹介するから行くぞ?」
「さっきの彼女は『陽菜ちゃん』ていうのか。ああ、コイツラも一緒でいいのか?」
「勿論、仲良くしてくれよ。但し、名前呼びは俺が許さんからな?」
「陽向、以前言ってた『守りたい人がいる』ってのは、彼女の事か?」
「そうだ、みんなも協力してくれよな?」
何故かドン引きしている三人を引き連れて正門前まで来たが、陽菜はまだ来ていなかった。
太一達に悟られないように、スマホで通話するふりして位置情報を確認。有り得ない場所が表示されたので、音声を拾ってみたら緊急に対応が必要な事態で同時録音をセットしてから、
「三人とも着いてきてくれ!」
返事も聞かずに、全力で走り出した。
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