第4話 猛獣達

今回、残虐な表現があります。

苦手な方は、スルーをお勧めします。

飛ばして読んでも本筋には少ししか影響ありません。


ラブコメ要素が出てくるのは、もう少し先になります。



※※※※※※※※※※



校舎を左側に回り込み部室棟がある裏門近くまで走り、建屋の裏口が見える所で立ち止まり物陰から覗き込むと、陽菜を抑え付け取り囲む男達が見えた。

見える範囲に五人、裏門側と部室棟裏口に見張りであろう二人ずつ。

かなり抵抗したのか既に半裸にされいて、いたぶっているのかイヤホンからかすかに聞こえる陽菜の声からは切迫感が感じられた。

追いついて来た太一達にハンドサインで声を出さないで伏せるように指示出しして、


「太一と健は両側の見張り二人ずつを抑えてくれ。逃げ出したら動けないようにするだけでいいからな。良は素手で何人か抑えられるか?」


「俺は素手では無理だな。何か獲物が欲しいな。」


懐から、一見少し大き目なモバイルバッテリーにしか見えない円筒形の金属を良に渡して、


「こうやってコードを引きながら振り抜くと伸びるぞ。特殊警棒モドキだ。イザとなったら使ってくれ。俺は一人で突入する。証拠に使うから録画を頼むぞ!」


スマホを録画モードにして良に渡して、一人がズボンのベルトに手を掛けたタイミングで走り出そうとしたら、


「待てよ、状況を教えろ!」


太一に呼び止められたので、


「詳しくは後だ、陽菜の他にもう一人捕まって部室に閉じ込められてるようだ。陽菜のスマホを遠隔操作して全部の会話を録音してある。全員まとめて始末してやるから協力してくれ。」


「待て、落ち着け!」


「幼馴染みが強姦されようとしてるのに落ち着けるかよ!もう一人が『手遅れ』になる前にやるぞ!」


「わかった、行け!但し、殺すなよ?」


「分からん、行くぞっ!」


走り込んで脱ぎかけのズボンのまま陽菜を抑え込んでいた二人の股間を蹴り上げ倒し、振り向いた一人を殴り倒した所で残った二人がナイフを手に襲いかかってきたので躱しながら二人とも股間を蹴り倒して動けなくした。多分だけど、『潰した』だろう。手応えあったし四人とも泡を吹いて倒れ込んで呻いているからな。

殴り倒した一人も右手にナイフを持っていたので、股間を蹴り上げて使い物にならなくしておいた。


「おい陽向、やりすぎだぞ!」


見張りの四人を排除してきた太一が渋い顔で怒鳴ってきたが、


「凶器を持っている奴らには遠慮は要らんだろう。即死させないだけ有り難いと思わせないとな?太一、見張りの奴らにトドメを刺しに玉を潰すぞ。良は110番通報してくれ。警官が来たら、コイツラの部室に突入するぞ!」


「……………………いや、これショック死してもおかしくないだろ!これ以上は過剰防衛になるからやめろよ。だからお前は『狂犬』と呼ばれてるんだよな?」


「ああ、大事な人を守るためなら何にだってなるさ。陽菜、大丈夫か?」


「うん、何とか大丈夫よ。」


「警官が来るまでこのまま少しだけ我慢してくれ。証拠になるからな。」


ポケットからエマージェンシーブランケットを取り出して広げて、ズタボロになった制服を隠すように陽向の肩から掛けてから抱きしめて立たせた。


「歩けるか?」


「すぐには無理かな?」


思ったより、普通だな?前回の『事態』の時も、コイツは気丈に振る舞ってたしな。怖かっただろうに。いや、襲われるのは初めてではないしこれぐらいなら怖くもないのか?


遠くからサイレンの音が近づいてくる。

騒ぎに気が付いた教師たちが来るのと、どちらが早いかな?


あ〜、また陽菜の爺さんの世話になるなと思いながら、陽菜を強く抱きしめた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る