第4話 心霊ドライブ
学生たちが帰った後、俺と後藤先輩はただ一条先生の発言が気になっていた。
「先生、立証するって、どうやるんですか?」
「え?そんなの夜に心霊スポットに行って、同じ体験をするだけだけど。」
後藤先輩は怪訝な顔をした。
「つまり、確かめに行くってことですか!?」
「逆にそれ以外にある?」
一条先生はキョトンとした顔で、俺たちを見つめる。
「それで仮に、何も起こらなかったら、気のせいってことですか?」
俺の問いに対して一条先生は無言で首を振った。
「何か絶対に起こるはずだ。」
「なんでそこまで分かるんですか?」
「僕が気になったのは『車に乗っていた全員が同じ奇妙な体験をした』ってところなんだ。」
俺たちがあまりに腑抜けた顔をしていたのだろう。一条先生は少し笑って付け足した。
「普通だったら4人で心霊スポットに行ったら、1人や2人が奇妙な体験をすることが多い。後の人は『何もないじゃん』程度で終わるんだよ。なのに今回は『全員が同じ体験をした』これは普通じゃないよね。」
そう言われてみると、確かにそうだ。動画サイトなどに上げられている心霊動画も、全員が異音を聞いた、全員が幽霊を見たというシーンは俺が見た限り無い。
「そうと決まれば、行くしかないね。寺下くんは来るでしょ?」
「えっ?」
「後藤さんはどうする?」
「一緒に行きます!」
さすがにミステリーサークルの先人なだけあって、あまりこういう事象に抵抗が無いのだろうか。男の俺よりも判断が早いことが悔しい。
「じゃあ、みんなで夜のドライブだ! 荷物持って。ほらほら」
俺たちの急かすように一条先生が手を叩く。
怪異に出会える予感で、明らかに先生が舞い上がっている姿に、俺と後藤先輩は笑うしかなかった。
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