わがまま
千世 護民
第1話
全部が欲しい。富、名声、地位、友達、恋人。全て自分の思い通りになればいい。いや、そうなるべきだ。
なんてのをずっと考えているといずれ全てを失う。失った後に一体なにが自分に残るのか。
人間は色々なことに意識を置くような頭の作りにはなっていない。だから、一つのことに貪欲になるべきだ。
だから欲に貪欲になった。欲張るたびに自分にはまだなにか足りない気がして、また欲しくなる。
ねえ、どおして気がついてくれないの?君にはなしかけてるの。そう、君だよ。私はキミが欲しいの。
なにかを手に入れるためには何かを捨てなければならない。全て持ちきれないのは誰だって分かる。わかってるけど全部欲しい。
やっぱいーらない。じゃあね。次はなにがいいかな?ブランド物のバッグ?指輪?恋人?豪邸?
でも、簡単に手に入るものはあんまり欲しくない。
え?僕なら君の欲しいものがあげられるよ?って、そんなに私がいいの?キミもずいぶん変わってるね。でもなー。一回捨てたからなあ。
一度手放すとそれはもうゴミ。ゴミ箱に入れてしまえば、それはゴミというものになる。
きもちわるい。どっかいってよ。近づかないで。
欲したのにゴミに変わればそれはいらないもの。だって欲しいと思ったら他のものと交換するから。
世界は自分中心に回っている。どんなことも私が恥をかいたり都合が悪くなることは許されない。自分が一番だから。その他大勢の人間共なんて視界にすら入らない。
なにやってんの?私の役に立ってよ。
なにをやっても空回り。何度諦めたことか。何度頑張ろうと奮闘したことか。結果はいつも同じ。あーまた失敗。
あっ、まただ…ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい…
あー私ってばほんとに優しい。こんなに他人のことを気遣えるなんて。
あっ、重そう。大丈夫?こっち持つね?一緒に頑張ろう!
みんな見てるかしら?私が手伝ってあげてるのよ?どう?えらいでしょ?
人間なんてこんなもん。自分が一番かわいいの。だから多種多様。十人十色。色んな文化が生まれたし言葉や考え方だって人それぞれ。
え?なにが言いたいかって?これ全部私なのです。これが全部自分のしてきたことなのです。いわゆる罪滅ぼし。もう、自分を偽るのも疲れました。
どこかに本心だけで活動できる場所はありませんか?私はそのような場所を見たことも聞いたこともありません。これではいいものもどんどん悪い方へ向かっていきそうですね。
みなさん大変ご立派です。
わがまま 千世 護民 @Comin3
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます