6 縁に連るれば異界の物を
「え、青の大陸へ行きたいだって?」
天使の言葉に、ルアードが肉を頬張りながら素っ頓狂な声を上げた。
アーネストと共に買い出しに行っていたというルアードは、まずは腹ごしらえだと言って宿のカウンターで食事を始めていた最中の事である。アーネストもパスタだとかいう麺類を無言で食べていた。
「そこまでは遠いでしょうか」
既に日も沈み辺りは暗くなっていた。
大きな街らしく夜であろうと街灯に煌々と明かりが灯っている、一体どういった原理なのか不明だが拳大ほどの明度の高い黄色い石がランプの中でほのかに発光しているのである。炎ではないが安定してある程度の明るさを保っている。室内は小型のランプに照らされて柔らかいオレンジ色に満ちていた。数人の宿泊客に女将とリリーが給仕をしている。
食事を摂るルアードとアーネストはカウンターに、私と天使は少し離れたテーブルに腰掛けていた。隣同士に座るなど冗談ではないのでテーブルを挟んで対面ではあるが、それはそれで不快感が拭えない。懐の小刀だけが唯一の自衛の為の武器である。
「これ以上ご迷惑をおかけする訳にはいかないので、出来れば私達二人で行ってみようかと思うのですが何分こちらの知識も必要な道具もないので……」
何も今すぐというわけではないのです。
天使はそこを強調する。
「いずれ訪れたいと思っていて」
にこにこと人好きのする笑みを浮かべながら天使が口にする。
……また勝手なことを。胸中で悪態をつく。
確かに確めに行くことには同意したが誰が二人きりで旅をすると言った。目的の定かではないこの二人の旅について行くのも何か違うような気はしたが、それはそれである。
「誰も二人旅をするとは言っていないが」
何が嬉しくて天敵と一緒に旅をしなければならないというのか。苛立ちのまま口にするが大仰に驚いて見せたのはいけ好かない天界の男だった。
「貴女、一人で旅が出来るのですか?」
「その喧嘩いつでも買うが? あ?」
心底心配だと言わんばかりの嫌味もへったくれもない表情での発言である。
武器もない、霊力も使えない、翼もない。ないない尽くしの中での安否を憂いているのだろうがそれはお互いさまというものだ。それともなにか? 貴様はこの状態でもやり通せるとでも? 随分と自信のあるようだが貴様も同じ状況に置かれているのだが?
なんと言ってやろうかとイライラしながら口元を戦慄かせていたのだが。
「ええっと、今ね、俺達がいるのは緑の大陸でねぇ」
ルアードが言いながら食器片手にこちらのテーブルへとやってくる。肉の乗っていた大きな皿をテーブルの中心に置くと、取り皿四枚を四方に配置した。そうして右下に置かれた皿を指しながら、
「ここが緑の大陸、現在地ね」
口にするとそのまま左下の小皿を指す。
「黄の大陸」
右上を指しながら、
「青の大陸」
左上を指しながら、
「赤の大陸」
端的に答えていく。
「中心の一番おっきな大陸が銀の大陸ね。それぞれ銀、赤、青、黄、緑の色を持った竜人が治めていた大陸でね、今でもそう呼ばれてんの。各大陸の中央には城があって、まあ首都として機能してる」
各大陸の王様は竜人を打ち滅ぼした人間って伝わってるな、ルアードは口にする。竜人の支配していたという名残なのだろう、御伽噺はあながちまったくの虚構というわけでもないらしい。すい、とルアードが現在地だという右下の皿から中央の大皿の右端を経由し右上の皿まで指で指し示す。
「青の大陸に行くには銀の大陸を縦断して、港町から船に乗るのが最短ルートかな」
大分遠いよ、やれやれといったように大きく息をついた。
そうして大皿に乗った肉のひと切れをまたぱくりと口にする、美味いよねぇ、言いながら皿の中身をすべてフォークで小皿へと取り分けるとカウンターへと持っていく。ほらあーん、と言って黒髪吊り目の口元へと差し出すが誰がするか馬鹿野郎、吊り目は文句を言いつつ小皿を引っ手繰る。
「育ち盛りなんだから食え食え」
「やかましいそんな年じゃない」
むふーっと満足そうなルアードに対しアーネストは面倒くさそうに返す。
それでも先程から食べていた麺類は空になっていたし、肉は食うし、まだ足りないとばかりに女将に注文をしていた。次は魚が食べたいらしい。
「ヨシュアさんもルーシェルさんも食べてね!」
金ならさっき魔石の換金してきたんであるんだよ~どこまでもにこやかに告げるが、その言葉と同時に同じくカウンターで酒を飲んでいたらしい男達にがっしと肩を掴まれていた。
「んじゃあ今日はルアードの奢りな」
「むさくるしい男は論外じゃ」
「まーあルアードきゅんたらつれないことお」
「男に施してやるもんかねぇんだよ!」
顔見知りなのか宿の常連なのか、なかなか屈強な男達とじゃれ始めていた。やめろ俺の傍は綺麗な女の子の物だ! と吼えるルアードをまあまあまあ、と男どもはなだめていた。扱いに慣れている。随分とにぎやかな事だ、とても上品とは言えない空間でふわふわと笑っているだけの天使の場違い感が凄い。
「おや、食べてないじゃないか」
使った皿を下げていた女将が不意にこちらへと声をかけてきた。
テーブルの上には水の入ったコップと、病み上がりにはこれだと言われた小さな皿がある。少し深さのある茶色の皿の中には白い半固形のような何か。皿を置かれた直後はほかほかと湯気が立っていたが、時間が経ちやや冷めたようであった。側には銀色に光るスプーンが一つ。
「ほら、細っこいんだからちゃんと食べないと」
「いらん」
女将は促すがそもそも食べる必要がないのだ、わざわさこの世界の得体のしれないものを口にする必要もあるまい。不意とそっぽを向いて、コップに注がれている水だけは頂こうかと手を伸ばしかけた、ら。
「いいから食べなさい」
「んぐッ!?」
強引にスプーンを口の中に突っ込まれた。
口の中いっぱいに広がるのはほんのりと温かくて、柔らかい食感の未知の味だった。じわっと舌が痺れるように味覚を伝えてくる。刺すような痛みも、泥臭さも、鉄の味もしない。尖っていない優しい柔らかさ。口の中のスプーンの硬さに違和感を覚える程に。
「疲れている時はパン粥がいいんだよ。ここはミルクもチーズも手に入りやすいしね」
してやったりとばかりに笑う女将を恨めしく睨む。
「美味しいだろう?」
問われても味など解らぬ。
食事など摂ったこともない。
比較対象などないのだから美味いかどうかなど知らない、けど。
「………………悪くはない」
もう一口くらいなら食べてもいいだろうかと思えるほどには、そう、悪くはなかった。女将がにやーっと笑う。そうだろうそうだろう、酷く満足げにしているのが気に食わない。何がそんなに嬉しいんだ。
「おっルーシェルさん気にいった?」
すかさずルアードがこちらに声をかける、本当によく見ているなこの男は。
「アーネストも熱出すとよく食べてたんだよパン粥」
「いつの話をしている」
「お前がもっとずっとちっちゃかった時の事~」
へらへらと歌うように口にしたルアードに、アーネストは舌打ちをする。仏頂面だとは思っていたがそれまで見た事のないくらいの渋面だ。随分と付き合いが長いらしい。
「私も同じものをいただいてよろしいでしょうか」
「おうどんどん食べなさい!」
怖いもの知らずの天使が女将に注文する。
ちょいと待ってねと女将はカウンターの奥へと引っ込んでいった、代わりにリリーがアーネストに何やら出している。白身魚のフリッターです、と緑の葉の上に綺麗に積まれた四角い何か。ルアードに構うのは面倒になったのだろう、無言で食べだした。人間の若い男というのはよく食べるものらしい。
人間が食事をする場。
賑やかに各々が喋りながらあれこれと口にしている。
多種多様のそれらは、見た事もないものばかりだ。知らないものに対して警戒するのは当然だと思うのだが、目の前の白い男は自分も人と同じように何かを食べてみようという。
「……自分からよく食おうと思ったな」
「貴女が気に入ったものがどんなものか気になりまして」
呆れたように言うも、ふわりと天使は笑う。
「魔王様のお好きなものが知れる機会などそうはないでしょう?」
「貴様の嫌味は枚挙にいとまがないな」
「嫌味だなんて……」
心外だとばかりに眉を下げる、一体どこまで本心なのやら。お互いに気を許せぬ仲だ、こうやって一見友好的な言動を繰り返すが時折こちらを見る視線の冷たさに気付いていないとでも思っているのだろうか。ざくりとスプーンをパン粥に突き刺す、ゆるくやわいそれはずぶずぶと沈んでいくばかりで立つこともない。
天使は人を護るもの。悪魔は人を堕とすもの。相容れない。
敵対するもの同士が武器もなく一度に会する異常。そう、異常だ。じりじりとした空気。
「はいよ、お待たせ!」
女将がごとりと自分に出されたのと同じものを天使の前に置いた。意識が一瞬そちらへと移動する、出来立てだからだろうそれはふわふわと湯気が上っていた。わ、と小さくではあるが天使の幼子のように上がる声に苛立ちが収まらない。
「熱いから気を付けてね」
それだけ言うと、女将はさっさと場を離れていく。他の客の相手だろう、リリーと合わせてくるくるとよく働くことだ。ありがとうございます、礼を言うとそうっと天使がスプーンを手に取って皿の中の物を少しだけすくった。銀色のそれに馴染む白。
形の良い小さな唇が触れる、熱さに少しだけ驚いたようだったがそれでもゆっくりと飲み込むのが見えた。気分は他種族の観察に近い。
「優しい味ですね」
ふふ、と楽しそうに笑うものである。
不必要な事を行う効率の悪さを完全に面白がっている。そういえばこの男は森の中でキャンディとやらも口にしていたな……毒だったらとか一切考えないのだろうか。それとも毒に耐性があるのか?
じろじろと眺めていたからだろう、天使がちらりとこちらを見た。
「貴女もいただいたらどうです」
気に入ったのでしょう?
天使に指図されるのは我慢ならないが、先程の柔らかく口の中に触れる刺激は悪くなく。銀色のスプーンで天使と同じように中身をすくうと口へと運ぶ。柔らかい。大分冷めたとはいえ十分温かいそれは、頬の奥を柔らかく押すようにじわりと広がっていく。飲み込む、喉を滑り落ちていく感覚は形容しがたいものだった。
旨いか不味いかなどは解らない、わからないが、この刺激は嫌ではなかった。
「お二人とも食べてる~?」
一通り食事がすんだのか、ルアードが再びこちらのテーブルにやってくる。アーネストはまだ何か食べていた、道中の食事風景を知っている分随分とよく食べるなといっそ感心する。食える時に食うというのを体現しているようだ。
「ここのご飯美味しいでしょ」
言いながらルアードが私と天使双方から少し離れた場所に腰掛ける。
「んでさっきの話だけどさ、なんでまた急に青の大陸?」
問いかけは当然だろう。
それに対して天使はことりとスプーンを置く。すっと背筋を伸ばして。
「青の大陸には竜人の血を引いた女王がいると聞きました。女王は魔法が使えるのでしょう? でしたら、私達が帰る為のすべを何かをご存じではないかと思って」
目的は元の世界に戻る事、それ以外はない。
あー…ルアードはちらりとリリーを見て、そっか、と。それだけ小さく呟いた。なんとなく大体の流れを理解したのだろう。
「彼女は竜人について独自に調べていてね、俺達も情報が欲しくてよく来るんだけど」
「竜人の情報を集めてどうするんだ」
「それはねぇ、まあ、色々あるわけよ」
相変わらず目的はっきり言わない。特に関心もないのでそれ以上追及もしないが。
「俺らも根無し草みたいなもんで、そりゃあいずれ青の大陸も行くつもりだったけど。お二人さんは武器も何もないわけでしょ? この状態で流石に一緒にってのは無理だよ」
正論である。
ちらと周囲を見回す、狭い店内は様々な人間がいる。宿屋だからだろう、皆冒険者のようで一様に武器を持ち防具を身に着けていた。武器、防具、身を守る為に人は必要なのだろう。
「どうしてもっていうなら俺は別にやぶさかではないよ。ただ、無防備なお二人を守りながらというのはこちらとしても効率が悪いし最悪な状況も想定してほしいわけ」
そうしてルアードはぐっと身を屈め、こそりと口にする。
「あとね、すごく嫌な話をするけどね? ヨシュアさんが今付けてるその女神の祝福、そこそこ高価なものでね?」
「え、あ、これですか?」
天使が己の耳に手をやる、そこにはここに来た時ルアードに手渡された赤いピアスが揺れていた。
言語変換の効力がある魔法道具、という認識なのだが当然これも手間暇がかかっている価値のあるものなのだろう。タダではない、ということは金銭が必要となってくる。だが自分達はこの世界の貨幣など持っていない。天使が持っている小さな魔石も価値としては大したものではないのだろう、もっと言えばこの世界のルールも、常識も、知識もないのである。
「武器の一つもないのは困るだろうけどちょっと、タダでは差し上げられないのよ」
アーネストもよく食う方だしさ、割とまじで余裕はないのよ。
それだけ言うと、ルアードはぱっと身を放して笑う。
「美人さんと一緒にいられるのは嬉しい事だけどね」
あながち嘘でもないのだろうが、それでも取り繕ったかのような物言いである。
いつまでもこの者達の世話にはなれない。だが異世界というややこしい状態に置かれた今、ではどうするのが最善なのだろう。信仰すら違うのであるから現在の我々は無力な人間と変わりない。この街から出られないのであればこのままここに留め置かれる事になるのだろうか、天使と一緒に? 冗談ではない。
「……貨幣の獲得が必要、と」
天使が一人ごちる。
「金を稼ぐのに手っ取り早いのは『魔』を倒して魔石の換金だけど、武器なしじゃあねぇ」
「この街なら闘技場もあるぜ」
ルアードの言葉を遮って常連客らしき男の一人が口にした。ぎょっとしたようにルアードが男達の方へ振り返るが酒が入ってからからと笑いあう男達は、そうだそうだと口々に言う。
「いやちょっと皆さんまってよ、」
「おーいアル、お前もたまには闘技場に顔出せよ。お前も腕が立つ方だろ?」
「……面倒だ」
おろおろとするルアードを尻目に、注文した皿をすべて平らげたアーネストはようやく人心地付いたのかふうと息をつく。相変わらず取り付く島もねぇなあ! 男どもは笑うばかりだ。
「闘技場……?」
「あー…さっきも言ったけどさ、ここ王都から一番近いデカい街なのね。俺らのような冒険者も多いし、まあ、なんていうの。双方の力試しというか」
天使の問いに、ごにょごにょと珍しくルアードの歯切れが悪い。
双方といったな、つまりは人間同士のやり取りなのだろう。
「賭博か」
端的に指摘してやる、さもありなん。
人の多く集まる所は得てして娯楽に飢えるものだ。畜産と農業が主力であれば出来る事など限られている。
「いや強い奴は王都の兵士に召し抱えられるってのもあるから!」
あくまでも腕試しでね!
腕試し兼娯楽としてのね!
言いながら否定はしない、となれば、金銭のやり取りはあるのだろう。どちらが勝つかというわかりやすい賭け事。賭博、博打、勝負事。賭場に渦巻く憤怒、絶望、羨望、焦りや不安などといった負の感情は我々悪魔が好むものだ。それは、天使と共にいるよりもずっと息がしやすい。
要するに、だ。
何はともあれ金を稼げばいいのだろう。
「おいルアード、こいつを闘技場へ放り込め」
「えっ」
顎でしゃくってやると天使は素っ頓狂な声を上げた。ついでとばかりにルアードも目を白黒させている。
「ちょ、ルーシェル何を、」
「そうだよルーシェルさん、なにもヨシュアさんにそんなこと、」
「出来る事なら何でもすると言ったのは貴様だろう?」
ルアードの言葉を制止してきっぱりと告げてやる。焦った天使の表情が愉快だ。
「人を守護する私が人に剣を向ける事など出来ません」
「おや、お優しい天使様は己の言葉を反故になさる気か?」
珍しく語気を荒げる天使に対し殊更柔らかく、囀るように言ってやればぐっと押し黙るのがこの素直な男だ。ゆらゆらと天使の青い瞳が揺れる、人間の守護、己の発言のツケ、さあどちらを取る。己の言動を始めてそこで後悔したのかもしれないがこんな面白い事を誰が見逃してやるものか。
「……先程の仕返しですか?」
「さて何のことやら」
けたけたと笑うこちらをじと目で睨んでくる男の視線が心地よい。
何でもするのだろう。
揶揄してやればそれはそうですけどね、それとこれとは違いますと何やらごにゃごにゃと言っている。人相手に剣を握るには躊躇いがあるらしい、実にお優しい事だ。
「勝つ自信がないのか?」
「そういうわけではありません」
「おっ参加希望かい?」
常連客の男がずいと話に割り込んできた。
慌てたのは天使である。
「え、いやあの、」
「兄ちゃん、そんななりで強いのか?」
恰幅のいい男達からヤジが飛んでくる。恰好が肌を極力出さない天使の服装からこの世界の物へと着替えたからか、えらい美人だなとは言うものの女と間違える者は少なくなったようだった。だが見た目は長身だとは言え細い体躯の、女顔の優男なのは変わらない。当然強そうには見えないのだろう。
「ええと、……まあ、それなりに自負はあります。ですが今私の愛剣もない状況ですので……」
すみません。
困ったように微笑みつつも断る男にちっと舌打ち。
己の言動よりも人を守護する己の役目を取ったらしい。武器の購入金を用意できるかもしれないのに馬鹿なことだ、愚かな人間を守ったとしてどうなるというわけでもないであろうに。真面目な事よ。
興覚めだ、とばかりに大きく息をつく、と。
「ん? 闘技場は模擬刀でのやりとりだよ、殺しちゃあ事だからな」
参加するのかと聞いてきた男が自前の武器などなくとも問題ないと言うではないか。
そんな、と言わんばかりに顔色が悪くなる天使に己の口元が再び酷く歪んだのが解った。さあどうする、お優しい天使様はどちらを選択する。困り切った表情の天使に胸が弾む。
「……私が、勝てばルアードさんは助かりますか?」
「え、ええと、まあそうなるかな?」
そうですか……天使はあくまでも煮え切らない。
天使が勝てば、賭博の金がいくらかでも入れば武器の購入も可能だろう。見た目がこんな優男だ、相手が大男でもあれば何も知らない人間達がどちらに賭けるかなど想像も容易い。配当率はそう悪くないのではないだろうか。なれば、武器さえ手に入れば。この天使ともおさらばできるのでは?
「……随分良い笑顔をなさいますね」
「ならいでか」
憎い天使が困り果てている、こんなに心躍るような状況などあっただろうか。
嘲ると天使ははあ、と。これ見よがしに盛大に、溜息を吐いた。
「……致し方ありませんね」
腹をくくったらしい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます