第3話 異郷人

「ようやくここに着いた!」

全身がボロボロしている少年は興奮で声を上げた。

この三日間ずっと船の部屋に閉じこもっていたから、少年は大口を開けて貪るように新鮮な空気を肺に吸い込む。

港で作業をしている人たちはその場面を見て思わずに嘲笑の声を漏らした。

「その奴は絶対に田舎から来ただろう。この地域の人らしい振る舞いじゃないから」

「わかんねー、毎年ここに来て尋ねる観光客もいっぱいだし。あっ、そういえば、政府は今年香水に関する新しい法律を作成する予定だという。」

その時、まだ好奇心の溢れた顔をしている少年はこっちの二人を気づいた。すると、少年は一刻の猶予もなく二人に向かって走る。

「すみませんが、私、ききたいことがあるけど」

少年は走っていると同時に大きな声で叫ぶ。

「やばい、彼はここに近づいている。各々違った方向へ逃げよう!そいつに付きまとえば!」

互いに確認した後、二人も走り始めた。

「おい!待って!」

息が切れた少年はもうこれ以上走れないから、しばらく見回って貨物の積もったところへ行って、貨物に持たれて腰を下ろした。

「なぜ僕を恐れるの?僕、何の悪意もないのに。。。」

少年は頭を抱えて思い込んでいる様子だ。

長時間の旅行とさっきの走りばかりに、少年の精力はもう尽くした。睡魔に襲われて寝る。

いつのまにか、空が暗くなって、星が瞬いて、少年も起きた。だが、単純に腹が空いているから。

「腹が空いて!どこかへ行って地元の料理を扱う店を探そう!うん、これを決めた。」

充電完了したロボットのように少年は少し服装を整えて立ち上がって歩み始めた。

でも、初めてここに来たから、少年は道に迷うことになった。

地図もないのだし、助けてくれる人もいない。少年が今絶体絶命な境地に陥っているといっても過言ではない。

諦めようとするとき、少年は通りの果てにあるレストランを見た。まだ営業しているらしい。

「行ってみよう。これ以上もっと悪い事態になるはずがない」

覚悟をした少年はそこのレストランに歩き始めた。

限界になったという感じがまるで荒れている潮のように少年を囲む。前へ一歩を踏み出すことすら難しくなった。

突然、少年の視界が真っ黒になった。バランスが崩れて少年は直に地面に倒れ込んだ。

意識も不明になった。

「これもいいか、もとより必勝の決意を抱えていないから。ならば、さよなら、世界!」

ふっと雨が降り出した。寒さと絶望があいまって、少年は悲しく目を閉じた。

異郷人の少年はそのままマコスドの街頭で死んだ。

驚いたことに、通りを行ったり来たりする人々は彼の死体に気づいていないらしい。ひたすらに自分の目的地に向いている。

なんて卑しい存在だろう!異郷人が!

少年が死んだ後、たぶん三時間が経って、白い服を着て黒いマスクで顔を遮る人が少年の死体のいるところに駆けつけて、香水の入れてあるガラス瓶の蓋を開けて、少年の死体に香水をかけ始めた。

作業が終わると、その人は小声で次のような話をした。

「死体処理が完了、次は回収する」

雨が降りしきる。

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