9. 委員長と放課後に・・・

 この日は二時間目まではホームルームで、その後始業式があった。

 始業式は体育館で行われたのだが、全校生徒は100名ほどだろうか。前の学校の一学年の人数より少なかった。まあ、多くても全員と関わるわけじゃないから別に構わないのだが。


 教室に戻り、終礼が終わると天ノ川が声をかけてきた。

「なあ星川。この後って何か予定あんの?」

「ああ。天月さんが学校内の案内をしてくれることになってるんだ」

「そっか。委員長が案内してくれるなら安心だな」

 もしかして、案内しようとしてくれたのだろうか。どこまでもいいやつだな、こいつは。


「じゃあ俺は、呼び出しくらってるからそっちに行こうかな」

「なんだ、予定があったのか」

「まあ、そっちのほうは無視しといても何とかなるからな。じゃあ、また明日な~」

 そう苦笑いで言って、天ノ川は教室を出て行った。

 うん。知り合ってまだ数時間だが、彼とはいい友人になれそうな気がする。


 その後、配布された資料の片付けをしていると奏さんが声をかけてきた。

「紡くん。今から案内しようと思うんだけど、大丈夫かな?」

「うん、大丈夫。お願いするよ」

 朝の約束通り、奏さんに学校内を案内してもらうことになった。

「じゃあ、まずは授業で使う音楽室や美術室を紹介するね」

 こうして、奏さんと学校内の教室をまわって歩いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る