2. 新しい生活

青空が広がる。


 同じ青空なのに、地元のそれと今見ているこれは、全く別物のように映る。

 長い道のりだった。電車や新幹線を乗り継ぎ、目的地に向け最後の乗り換えを済ましたところだ。今俺はフェリーに乗り、本州を離れた・・・と言うと大げさだが、目的地は瀬戸内海に浮かぶ離島だ。だが、普段都会にいると船に乗ることなどほとんど無いため、新鮮なワクワクした気分になる。それも相まって、空も自然も皆が、今日という門出の日を祝ってくれているかのように感じる。

 そう。今日から念願の、ド田舎での一人暮らしスタートだ!


「まもなく、三日月島~。三日月島~です。お降りの方は船が完全に止まってからお出口付近にお集まりください」

 アナウンスが鳴り響き、俺は降りる準備をする。

「降りる前に島の写真でも撮っておくか」


 そう思い、一人デッキへと向かう。潮風が心地よい。そう思いながらレンズを島へと向ける。見えるのは今回引っ越す先、本州から船で数十分のところにある離島、三日月島だ。


 カシャッ


 我ながら完璧だ。

 写真に満足し、その場から離れようとした時、防波堤にたたずんでいる女の子と目が合った。ような気がした。

 目はそんなに良い方ではないため、本来なら性別すら判断できないだろうが、何故かその子が女の子という事はわかった。新天地にきて有頂天にでもなっているのだろうか?


 ただ、その時は何か確信めいた、運命のようなものを感じたのだった。

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