ときめき☆天文部

@hoshiyomi-if

1. プロローグ

星を見る。


 都会に住んでいる人間にとっては、馴染みのないことだろう。

 なぜなら都会の人間の目には、夜空の星々より美しく輝くものがたくさん映るからだ。

 くすんだ空の微々たる光を見るより、色鮮やかなダイオードが織りなす装飾を見るほうが有意義というものだろう。

 それでも夜空を見上げるという人間は、相当に天体観測が好きか、万策尽きた人間くらいだろう。

 かくいう俺は、前者だったが。


 だって仕方ないじゃないか。空一面を覆いつくす、今にも零れ落ちてきそうなほど無数の星達の光。それを一目見たとき、感動はおろか恐怖心すら覚えたものだ。

 回りくどく話してきたが、都会は天体観測をするのに向いていない。そういうことだ。


 そして高校2年になるこの春、念願だった地方も地方、夜空がきれいなド田舎の高校への転校が叶ったのだ。

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