第2話


「あっ、もしもし。優衣義姉さん?結婚記念日おめでと~う。」

「もしもし、悠人君。ありがと..........」

「.............もしかして、さっきまで泣いてた?涙声だよ、大丈夫?」

「う、うん。大丈夫だよ、ありがとう。」

「あんなに今日を楽しみにしていたのに。やっぱり、心配だよ。いつも元気が有り余ってる義姉さんがこんなにも元気が無いなんて。今どこにいるの?兄さんは?」

「今、家の近くの森の谷公園にいる。勇人は........今いないよ。私一人。」

「わかった、待ってて。」



悠人君の口ぶりからして、こちらに来てくれるらしい。無理に来ようとしてくれていないかな.......なんだか、申し訳無い。


悠人君には、合わせる顔が無いよ。私と勇人のことあんなに喜んでくれていたのに。

私はもう、勇人を支えきる自信が無いよ。


勇人が怖い。気持ち悪くて仕方が無い。もう無理だよ.................


「お待たせ、義姉さん。って、顔が真っ青だよ!?本当に何があったの??」


悠人君は今、この公園の近くに住んでいて、あっという間に来てくれた。


よくよく見れば、靴はちゃんと履けていないし、服にも、いつもは無いしわがある。

息も切れていてダッシュできてくれたことが分かる。けれど、そんなそぶりは見せず、私をいたわるような優しい目で見つめてくれている。


こんなに私を心配してくれているんだもん。もしかしたら、私の味方になってくれるかもしれない。


私は、意を決して今さっきあったことを話した。










====       ====    ====


「信じられない。兄さんがそんな酷いことを!?確かにここ最近、兄さんと義姉さんは口数も減っていたし、お互い不干渉!というスタンスだった。けど、それも一時的な物で、すぐにまた、仲良くなれる物だと思っていたのに.........」

「私も信じたくない。あんなに信じて、信頼していた人に裏切られるなんて。悠人君も知っていると思うけど、私と勇人は中学校からの付き合いで、性格も好みも知っているつもりだった。だけど、実は全然知らなかったのね。私は、長年一緒にいた人に裏切られるほど、人望が無いのかな?私のこと、ATMとしか思っていないんだって。悠人君が結婚式の時に兄をよろしくお願いしますって言ってくれて、私も当時は、この人を一生支えるぞって意気込んでた。けど、今はそんな気持ちが最初から無かったように微塵も感じられないの。だから、悠人君の頼みは聞けないかもしれない。ごめんね。」



「謝らないで!!義姉さんが謝る必要は無いよ。何も悪くないじゃないか。悪いのは兄さ........あの糞馬鹿畜生だよ。姉さんには、人を引きつける魅力がある。人を幸せに、笑顔にする力がある。僕もその恩恵を受けた一人だ。それなのに、万年数学二点の奴が義姉さんのことをATMだって!?冗談じゃ無い。こんなに美しい人をよくも.........許せないよ。本当に......................」


「うふふ、あはははは。万年数学二点て。そんなパワーワード中々聞かないわ。確かに、わざと狙ってるんじゃないかって、先生も怪しむくらいだったけど、当の本人は真面目に全部解いたつもりだったわね。あ~~こんない笑ったのは、久しぶり。ありがとう、悠人君。私以上に怒ってくれて嬉しかった。言って良かったわ。」


「めちゃかわいいやん。なんであいつはこんなかわいい奥さんいながら、不倫なんて。がこんな目に遭うと知っていたら、諦めなかったのに。」


「えっ?早口で聞き取れなかった。なんて?」

「いや、何でも無いよ。ところで義姉さん、このままで終わらせる気?義姉さんが不幸なままなんてあってはならないことだし、糞兄貴と不倫女の考え方や行動も人間としておかしいと思う。義姉さん、復讐しない?」




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