第1話
家に入ると、見覚えの無いハイヒールが.......
うん?
これって私が前から欲しがっていた、ブランド物のハイヒールだ。
まさか、サプライズで私に勇人が買ってくれたのかな。
うふふ。仲直りしたいな~と思っていたのは、私だけじゃ無かったのね。
嬉しい。さぁ、勇人を喜ばせるために、ごちそう作らなきゃね!お高いシャンパンも買ったし。
「...................。」「........!................ 。」
リビングの方から、勇人と聞き覚えの無い声が聞こえる。女の人?
何だか、嫌な予感がする。
この話を聞いてしまえば、もう後には戻れないと直感が告げている。
が、あの勇人がまさかね.............
不安を完全に拭いきれないまま、おそるおそる声のするリビングの方へ近付いた。
「奥さん、まだ帰ってこないのよね?めんどくさいし、バレるのは勘弁よ。」
「大丈夫だって。あいつ、忙しいらしく、夜遅くに帰ってくるし、見つかったところで何にもならねぇよ。子供を産めないあいつが悪いんだよ。あんな奴、こっちから願い下げだよ。」
「アッハッハハ~~、ひっど~い。奥さんと幼なじみなんでしょ。そんなに言って大丈夫~?」
「好きで幼なじみになったわけじゃねーよ。あんな女、俺が貰ってやらなきゃ、一生嫁げねぇようなやつだぞ。何をつけるにしても、小言ばっかでわずらわしい。
まぁ、金を稼いでくるATMとして活用できるから、離婚せずにいるけどな。お前にもブランド物のバックやら宝石も買えるわけだし。」
「うわぁ~めっちゃ言うじゃん。あんた屑だねぇ~。まぁ、私はそのお陰で欲しいものが手には入って、嬉しいけどっ」
そう言って、二人はキスをして奥の方に行った。
心臓の音がうるさい。
はっ..........はぁ..........
私は録音停止と表示されている画面を押した。
頭が真っ白になったけれど、後悔すると身体が訴えているように勝手に動き、録音ボタンが押されていた。
身体の震えが止まらない。勇人の本性があんなに酷い物だったなんて.........
気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い
気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い
あんなのと一緒にいたなんて。あんなのと結婚してしまったなんて。あんなのと.........!!
自分が自分で嫌になる。
私は、この場から逃げ出したい。その一心で家から飛び出した。
先程まで、あんなにキラキラしていた夜道が今では、私を嘲笑っているかのように見えて仕方が無い。
私は近くの公園まで無我夢中で走った。この暗い夜から逃げ出しくて。
逃げれるなんて出来やしないのに。
何で私がこんな目に。人間が怖い。もう、信じれない..............
そう思っていたとき、携帯がブルルと振動して、鳴った。
画面を見ると、勇人の弟である悠人君からだった。
悠人君は私達より二歳年下で、一人っ子の私にとって、可愛くてしょうがない弟的な存在。悩みとかもよく聞いてくれて、よく私と勇人、悠人君の三人で食事をする仲。
悠人君が今のことを聞いたら、どんな反応をするんだろう。
やっぱり、血のつながっている実の兄の味方をするよね。血には勝てないし................。
でも、悠人君は、こんな私をいつも気にかけてくれるような優しく、物事の善し悪しが分かる常識を持った子だ。
悠人君を信じたい気持ちと、信じれない感情の二つが自分の中で激しく揺れている。
ただ、この苦しみを誰かに話して、楽になりたい。
私は、半分賭けで電話に出た。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます