第79話 山鬼
徐公の景熹が、福建で塩道の官に就いていた時のこと、官署の中の行李の内側から発火することが相次いだが、そこの鍵は元の通りにかかっていたのだった。また、ある晩には、何者かがこっそり徐公の妾の髪を切り取っていき、祟りを為すことはなはだしかった。まもなくして、徐公は官を辞し帰郷することになったのだが、まだ出発しないうちに亡くなってしまった。
「山鬼は一年に起こる出来事を知ることができる」(※)というが、彼が今にも世を去ろうという機に乗じて、ほしいままに弄んだのだ。徐公の運気が盛んな時は鳴りを潜めており、その運気が衰えるに至って現れ、何の理由もなく彼を踏みにじったのである。これが邪魅の邪魅たるゆえんであろうか。
※『史記』「秦始皇本紀」の記述による。
紀昀(清)
『閲微草堂筆記』巻六「灤陽消夏錄六」より
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