第73話 無縁塚
母方の叔父の馬周籙公が言うことには、東光県の南の村の廖氏はお金を募って無縁塚を建て、村人たちも皆で協力しあってこれを成し遂げた。
三十年余り経った雍正の初年のこと、東光県では、疫病が大流行した。廖氏は夢で百人余りの人々が門の外に立ち並ぶのを見た。その中の一人が前に進み出て来て述べた。
「疫病神が今まさに向かってきております。紙旗を十本あまり、また銀箔を貼った木刀を百本あまり用意して、焚き上げてくださいますよう、お願い申し上げます。我らが疫病神と戦い、これをもって村の恩に報いたく存じます。」
廖は物好きな人であったので、頼まれた通りにそれらを作って焚き上げた。数日後、夜に四方の野で騒がしい叫び声や戦闘の音が聞こえ、夜が明けるとともに止んだ。
果たして、本当にその村では誰一人として感染者は出なかった。
紀昀(清)
『閲微草堂筆記』巻四「灤陽消夏錄四」より
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