第40話 王驢
村人の王驢は野に出て畑仕事をしていたが、疲れて土塊を枕にして寝ることにした。
すると、西の方からこちらに向かって輿がやって来るのが見えた。家来や馬を大勢連れており、輿の中には私の叔父の儀南公が座していた。王驢は儀南公が病で伏せっていると聞いていたので、どうして出てきたのか、不思議に思った。
急いで近寄り挨拶をして、公としばらく語らった。そののち、公は北東の方角へと去って行った。王驢は帰ってから儀南公がすでにこの世を去っていたことを聞いた。数えてみれば、家来や馬の数は、お焚き上げで焼いた紙製の冥器の数(※)とぴたりと符合した。
下僕の沈崇貴の妻が直に王驢の話を聞いた。一ヶ月あまりの後、王驢もまた病死した。白昼に幽鬼と遭うというのは、つまるところその運気が衰えていたということなのだ。
※中国では葬式や法事の際に紙製の銭や馬、家、従者などを焼く風習がある。焼いたものはそのまま冥土に送られ、故人の冥土での資産になると考えられていた。
紀昀(清)
『閲微草堂筆記』巻五「灤陽消夏錄五」より
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