第38話 秀野亭
郎中を務めていた徳亨は、ある夏の日、ウルムチの城外を散歩しており、秀野亭にたどり着いたのでそこで涼を取っていた。ややしばらく座していると、突然大きな声が聞こえてきて、このように言った。
「お帰りいただこう!私はこれから客人を招くのだ!」
徳亨は狼狽し、走って戻って来て私に告げた。
「私は死んでしまうのだろうか?白昼に幽鬼を見たのだ!」
私は言った。
「何の理由もなく幽鬼を見るのは、もちろん良いことではない。だが、鬼窟で幽鬼を見たというのであれば、それは喩えれば人家に行って人を見たというようなもので、一体何を怪しむというのか。」
そもそも秀野亭は城の西側の鬱蒼とした林の中にある。木々は高く天まで聳え、降り仰いでも太陽が見えることはない。客死して仮埋葬されている他郷の者や、罪人で処刑された者も皆この地にいるのである。それらはしばしば、怪異を為したのであった。
紀昀(清)
『閲微草堂筆記』巻四「灤陽消夏錄四」より
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