第36話 鬼囚
毛公がまた言うことには、ある人が夜中歩いていると、一人の男と遭遇した。それは里胥(里の長)のような見た目で、鎖で囚人を拘束して、樹の下に座っていた。彼は並んで座し、しばらく休息した。囚人はずっと啜り泣いていたが、里胥はそれを鞭打っていた。彼は心中忍びなくて、横から止めるように宥めた。すると里胥は言った。
「こやつは凶悪で狡猾な悪漢どもの頭目だ。生涯で奴に弄ばれ貶められた者は、数百人では済まない。冥土の裁判官が、豚として七度生まれ変わるよう裁きを下し、私が奴を護送し転生させに行くのだ。君は何を憐れむ必要があるのだ?」
この人が慄然として身を起こすと同時に、二人の幽鬼もまた跡形もなく消え去った。
紀昀(清)
『閲微草堂筆記』巻二「灤陽消夏錄二」より
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます