第28話 引っ越し

 父方の叔父である梅庵公が言うことには、淮鎮のとある人の家は五間の空き家を所有しており、壁で仕切って別の敷地とし、雑多な財物を入れておくのに使っていた。子どもの多くがそこへ行って遊ぶことを好み、飛んだり跳ねたり踏んづけたりして、たいそう喧しく騒々しかった。鍵をかけて立ち入り禁止にしたが、今度は低い壁から隠れて入り込む。そこで大きな貼り紙を戸に貼った。「ここは狐仙の住処である。穢すなかれ!」ただ子どもを怖がらせようとしただけであった。


 数日後、夜に窓の外から声が聞こえた。


「この度はお招きいただき、感謝いたします。すでに引っ越しを終えました。貴殿のためにこの敷地を堅く守ってさしあげましょう。」


 これより後、そこに入る者はたちまち瓦で撃たれ、財物を運搬していた下僕たちは、敢えて足を踏み入れなくなった。その建物は長い間補修ができなくなって、ついに全て損壊し、ようやく狐仙は去って行った。これが「妖は人により起こる」という謂れなのだ。


紀昀(清)

『閲微草堂筆記』巻十一「槐西雜志一」より

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