第11話 雉と蛇
少司寇の王蘭泉が言うことには、夢午塘が江南の提学使の任に就いていた時のこと、官庁の裏手に高い丘があり、毎夜怪しい光が見えた。
話では、雉と蛇が丘の上に住みついており、長らく歳を経て怪を為すようになったということだった。
午塘は年若く血気盛んであり、鍬や畚(もっこ、ふご)を用意して丘を平らに均してしまおうとした。
しかし部下たちは躊躇って手を動かそうとせず、午塘は怒って彼らをせきたてていた。と、その時、突如として風が立ち、筵(むしろ)が翻って彼の頭に覆い被さってきた。慌てて取り払うとまたもう一枚の筵が飛んでくる。それらはいずれも官庁の涼み棚の上に置いてあったものである。
午塘は異変を察して、部下たちの作業を止めさせた。
丘は今なお、高く聳え立っている。
紀昀(清)
『閲微草堂筆記』巻二「灤陽消夏錄二」より
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