第11話

 1日の授業を終わったので僕は帰宅の用意をして教室を出た。和泉さんは今日は用事があるみたいで授業が終わると同時に急いで教室を出ていった。

 僕も早く帰りたかったので急いで教室を出て帰路に着く。

 

「ん? 誰だろう、あの人?」


 校門まで来た時、見慣れない人物が立っているのを確認した。見た感じ同年代の女性だ、服は制服を着ておらず、カジュアルなファッションのものを着ている。


(この学校の生徒じゃないよな、そもそも今学校が終わったばかりだし。にしても凄い可愛い人だな……)


 その人物は見た目だけで目を引くような美少女だった。街を歩いていたらモデルのスカウトとかに声をかけられそうだ。


「ねえ、ねえ。あの人誰? どこの高校の人なんだろう。めっちゃ可愛くない」


「凄い美少女……あんな子うちにいたっけ」


「お近づきになりたい。連絡先とか聞くために突撃しようかな」


「眺めているだけで目の保養になるわ〜」


 道ゆく男女が彼女に注目し、思い思いに感想を口にしていく、ちょっと不穏な言葉もあった気がするけど……。

 でも彼女が目を引くような人だというのは分かる。あまり異性の美醜に興味がない僕でも彼女のことは美人だと思う。


「ん? あ! いた!」


 あれ、彼女僕のほうを見て叫んだ?


 謎の美少女は僕を見つけるとこちらに駆け寄ってきた。ええ!? 本当に僕目当てなの!?


「こんにちは、君が隠岐くんかな?」


「は、はい。そうですけど……」


 僕は相手の勢いに押されて戸惑ってしまう。いきなり知らない美少女にこんなふうに話しかけられたら誰だって困惑すると思う。


「あー、ごめんねえ。いきなりあたしが舞い上がって話してる感じになっちゃって」


 謎の美少女は僕が困惑しているのを察して謝罪してきた。どうやら全く気が使えない人ではないらしい。


「あたしは不知火 楓っていいます。んー、どこから説明しようかな……」


 不知火 楓と名乗った少女はうんうん悩み始める。事情をちゃんと説明をしてくれるようだ。


「えーっとさ、君この前の秋葉原にダンジョンの入り口が出現したのは知ってる?」


「はい。ニュースとかで見ました」


 実際にはその場にいたんだけどね。まだ相手がどんな人なのかよく分かっていないから迂闊に言わないほうがいいよな。


「ふーん……」


 不知火さんは僕のことをジト目で見てくる。なんとなく心を見透かされている気分になって落ち着かない。


「君、今嘘ついたでしょ。本当はあの現場にいたくせに」


「!?」


 なんでこんな簡単にばれるの!?


「なんで嘘がバレたって顔をしてるけどあたしがそれを知ってる理由は単純だよ。だってあたしもその場にいたから」


 僕が必死に隠そうとした努力は無駄だったというわけか……。


「まあ最初から今知り合ったばかりの人間にその日にそこにいましたとか言わないよね。君の態度は当然だと思うよ」


 僕の対応に怒ることはしない、冷静に話を進めていく。


「あー、参ったな。周りに人が集まって来てる」


「えっ?」


 不知火さんの言葉に僕は周りを確認する。人が僕が来た時よりも増えてちょっとした人だかりが出来ていた。


「こんなところで変な注目集めるのも面倒くさいなあ。まったく見た目がいいのは嬉しいけど必要のない時まで注目を集めるのは勘弁して欲しいよ」


 不知火さんはぼやきながら僕の手を掴んだ。周りからざわめきが起きる。しかし肝心の僕はといえば可愛い女の子に手を掴まれて完全に上がってしまって言葉が出ない。


「とりあえずここじゃ目立つからどっか別の場所に行こう。そこであたしのことも説明するから今は黙ってついて来てね」


「え? あ、ちょ、ちょっと!」


 手をいきなり握られたたため僕は驚き、彼女の手を振り解くも出来ない。そのまま不知火さんに引きずられるようにして僕は彼女についていくことになった。

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