第10話 追放

なあ、俺言ったよな? ボムに火属性の攻撃はダメだって。


昔は違ったって、いったいいつの話だよ。ってか見た目からダメなのわかるだろ。

あとさあ。バフかけてくれるのはうれしいんだけど、ちょっと間が悪いんだよね。

攻撃した後に攻撃強化、攻撃された後に防御強化って、いつもワンテンポおそいんだよ。いや悪気はないんだろうけど、毎回されるとさすがにさあ、ね?


ってか、こないだ俺は止めろって言ったのに、まかせろって宝箱開けてさ、中身ミミックで、即死魔法でパーティほぼ全滅しかけたよね。

街まで棺桶ひいてさ、噂になったよね。とんでもない強力な魔物が出たって。ミミックでした、なんて俺もう恥ずかしくて穴があったら入りたい気分だったんだけど。いや棺桶入ってたんだけど。蘇生費用だけで大赤字だし、俺は顔真っ赤だよ。


もうここまできたら全部言うけど、パーティの女の子が怖いって。君の視線を感じるって。後衛職だから後ろにいるのはわかるんだけど、意気込んで鼻息を荒くするのは止めて欲しいんだ。


――変わりたいって思った。


まあ、つまり、その……。悪いんだけどさ、パーティ抜けてくんない?

たぶん、そのほうが君のためにもなると思うんだ。

相性ってあるじゃん? 俺たちはあんまり合わなかったんだなって。


――このままじゃダメだって。だから、


ごめん。じゃ、そういうことだから。


――そのための一歩を踏み出した。


「あのぉ、相談したいんですけど……」

「はい。どうぞこちらへ」


――必要だったのはほんの少しの勇気。


いつもありがとう! 攻撃受けたあと、すぐに回復入れてくれるから安心して戦えるよ!


こないだはごめん。街の人から聞いたよ。教会まで棺桶四つもまとめて運んでもらったって。すごい力持ちなんだね。


あの、私たち女の子三人パーティなんですけど。よかったら一緒にダンジョンいきませんか? 私たち後衛職ばかりで困ってて。


――なりたい自分へ。



転職はクラスナビ。

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