第49話 フォトちゃんは大人気Vチューバ―だった?
そうしてその日はお開きとなり、僕たちは帰宅する。
後は姫咲さんのカンペ待ちだ。
「マスター、まだやれることはありますよ。別の人気対策を練りましょう」
「人気対策か。何かできることはあるかな?」
「ええ。例えばコスチュームに拘ってみるとかはどうですかな?」
そういえば僕の怪盗時のコスチュームはフォトが勝手に決めたものだけど、これは変更が可能と聞いた事がある。
ゲームみたいに自分の好みでデザインが出来るのだ。
「でも、それって有料じゃないの? 今の僕にお金は無いよ」
「おっと、そうでした。これは失礼」
前回は姫咲さん本人が報酬であるため、お金を貰えなかったのだ。
これは仕方ない。
「そういえば、マスターはゲーム内で全くコスチュームを使っていませんでしたね」
「まあ、そうだね。弱いしね」
コスチュームは通称オシャレ装備とも呼ばれており、戦闘能力は皆無である。
僕はゲームでも効率を重視するので、かっこいい見た目のアイテムは無視して、使えるアイテムのみを使用していた。
「というか、なんで僕のゲーム内情報を知っているんだ?」
「サポーターたるもの、常にマスターの情報を知る必要があります。特にこのフォト、ハッキングはお手の物です。どうです? 凄いでしょ!」
「いや、君さ。プライバシーって言葉を知ってる?」
さては姫咲さんの成績もハッキングで調べたな?
油断も隙も無い子である。
「人気を取る一番有効な戦法は強さではありません。かっこよさです。本来はアイテムよりオシャレなコスチュームにお金を投資した方が有効なのですよ」
フォト的にはコスチュームにお金をかけることが重要らしい。
それが人気の秘訣か。
確かに人気怪盗は皆が専用のコスチュームを着ていた。
アメジストも専用のオリジナルだし、メギドは大量のアクセサリーを身に着けている。
相当お金をかけているはずだ。
「むしろ実力より衣装センスの方が重要とまであります。これを見てください!」
フォトがバーチャル画面に映像を映し出した。
それはバーチャルで作られたキャラによる怪盗ゲームの実況動画だった。
この街で怪盗が流行っているということは、その怪盗ゲームを使った実況動画も人気で言えば負けていないということだ。
下手をすれば、実際の怪盗より人気とまである。
「この動画の主、実力はちょっぴり控えめですがそのたぐい稀なる衣装センスによって莫大な人気を得ています。弱くても見た目さえ充実していれば人気は取れるのですよ」
「へえ」
見てみると、確かにキャラの見た目が綺麗だ。
色々なパーツを組み合わせて、とても可愛くコーディネートしている。
これに魅かれるのは僕もよく分かった。
この実況者はいったいどんな人物なのだろう。
その中身が気になるところだ。
『みなさ~ん。今日もご視聴ありがとうございま~す! とっても可愛いフォトちゃんのゲーム実況動画、フォトチャンネルです! 応援よろしくお願いしますね~』
「って、フォト!?」
「はい、正解です。まあこれ、私なんですよね♪」
お前かよ!
ロボットがVチューバ―とか、ガチじゃないか!
画面では可愛くおでこにピースサインを作っているフォト。
ノリノリである。
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