3章 鬼畜怪盗、誕生!?

第27話 怪盗ガチャ

 あれから解散となり、僕は家に帰った。

 今日一日だけで本当に色々な事があった。


 もうトラブルはお腹いっぱいだし、ちょっと早いけどそろそろ寝よう。

 一度気持ちをリセットさせておきたい。



「しまったぁぁぁぁぁ!」



 そう思ったらフォトの叫び声が響いてきた。

 どうやらまだ安眠するわけにいかないらしい。


「フォト、どうしたの?」


「マスター。私、やってしまいました」


「まあ、フォトがやってしまうのはいつもの事だよね」


 僕の軽口にも乗ってこようとしないフォト。

 どうやら本格的に問題が起きたようだ。


「実は、例の姫咲さんの件、ランクがなのです!」


「……なるほど」


 前回は初心者向けのEランク。

 Aランクは最高難易度で完全に上級者向けだ。

 まだ怪盗活動が2回目である僕が挑むのは自殺行為と言ってもいい。


「考えたら、なんて内容が低ランクのわけありません。こんなのは明らかにAランクの依頼です。そこに気付かなかったとは不覚! マスターに恥をかかせてしまうとは」


 フォトが悔しそうに握りこぶしを作っていた。

 すでに僕の失敗を確定している反応だが……


「ねえ、フォト。一応ゲームだったら、僕はAランクでも一人で成功させていたよ」


「そ、そうか! 確かに最強のマスターならば、Aランクの突破も不可能ではありません!」


「ただ、できればもっと強力なが欲しい」


 怪盗には強力なアイテムが必要不可欠だ。

 アイテムの強さが怪盗の強さと言っても過言ではない。

 スタンナイフだけでAランクの突破はかなり骨が折れる。


「フォト、アイテムを手に入れる方法は?」


「お金をいただければ、ランダムでアイテムが一つ貰えます」


「…………ああ、ガチャだね?」


「はい。ガチャです」


 怪盗ゲームは成功報酬でガチャを引いて、アイテムを手に入れるシステムだった。


 それ以外は課金要素となるのだが、これは実際の怪盗でも同じらしい。


「ガチャは一回いくらなの?」


「最低で10万円からです」


「高っ!? そんなお金は無いぞ!」


「一応、前回の成功報酬があるのですが……」


 そうだった。

 前回の宝石の価値は1000万。

 報酬がその1%なのでちょうど10万だ。


「このお金で豪遊してもいいのですが、個人的にはアイテムに投資することをお勧めします。強力なアイテムが手に入れば、その分だけ高難易度に挑める。そうなればさらに貰える賞金額は上がるでしょう。将来的に見れば、アイテム投資につぎ込んだ方が効率はいいです」


「……ふむ」


 間違いない。

 高ランクで手に入る賞金は低ランクと比較にならないほど大きい。

 10万なんてはした金になるレベルだ。


 強力なアイテムで高ランクを成功させる方が賢いやり方だろう。


 だからこそ、全ての怪盗は手に入れた莫大な賞金を全てガチャに投資する。


 そのお金は全て町の発展費へと回される。

 それで町が潤うのだ。

 本当によくできたシステムである。


「分かった。10万円でガチャを引くよ」


「了解です。さて、どんなアイテムが手に入るのか」


 ゲームでは課金した場合、手に入るアイテムは確実にレアとなる。


 恐らく同じ仕様だろう。

 その部分は良心的かもしれない。


 僕の狙いは『銃』だ。

 飛び道具が手に入るだけで攻略は一気に楽となる。


「出ました! 今回手に入ったアイテムは……激レアアイテムです! SSRですよ!」


「本当!? どんなアイテム?」


「『変装グッズ』です! 一度だけしか使えませんが、他人と完全に同じ姿となれますよ!」


「………………ああ、そう」


 思ったのと違った。

 個人的には武器が欲しかったのだが……

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