転校初日

中学は、家からちょっと離れた高台にあるから自転車通学なんやけど、初日やから、ママもいっしょにバスで行った。


職員室に入って、近くの先生に

「今日から転校してきました」

って言った。


「3年2組になります。今、3年生は、みんな学年集会で体育館に行ってますから、3年2組の教室の廊下で待っていてください」

って言われて、ママといっしょに、教室まで行ってみた。


教室も廊下も、だれもいなくて、シ~ンとして静か。


「じゃあ、ママは先に帰るから、廊下で、みんなの戻るの待っててね」

「うん、わかった」


それから、ひとりで、静かな廊下で、みんなの帰りを待っていた。


タッタッタッタッタ~

て、足音、静かな廊下に響いて、だんだん、わたしのほうへと近づいて来るみたい。


「あんた!こんなとこで、何してんねんな~!あんたも、はよ、体育館に来なあかんやないのー!」

って言う声とともに、女の先生あらわれた。

ちっちゃくて可愛い女の先生。

でも、大阪弁は、めっちゃ力強い。

廊下にめっちゃ響いている。


「え?廊下で待つように言われたので...」

って答えた。


「あ、そうやったん?ごめんごめん。ほな、いっしょに体育館に行くでー!」

って、先生は、わたしの手をギュッと、にぎった。


「はよ行かな!みんな待ってるでー!」

先生に手をひっぱられて、体育館まで、小走りで向かった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る