第三話「鏡の中」

 友人から聞いた話です。

 最近、体験した出来事だそうです。


 ある日、友人はいつも通り朝起きて、いつも通りトイレにいって手を洗って、顔を洗いはじめたんです。まぁ同じルーティンをされてる方、けっこういらっしゃるんじゃないかなと思うんですけど。で、そのまま顔を洗い終わって、ふと鏡にうつった自分の顔を見たんですけど……




 なんとなくね、違和感を感じたそうです。


 そこにうつってるのは間違いなく自分の顔で、見る限り何もおかしな所はないんですけど何かいつもと違う感じがする。「あれ、自分の顔ってこんなんやったっけ?」って思ってしまうような、そんな気味悪い感覚を覚えたんです。それで気になって彼は、顔をしかめて鏡の中にある自分の顔をじーっと見てたんです。十秒くらいそうしてたんですが、まだ違和感が拭えなくて顔をちょっと近づけて見ようとしたそうです。そしたらね。











 鏡にうつった自分の顔だけ急にニヤッと笑ったんです。




 うわって叫んで飛び退いて、思わず視線を逸らしました。


 少しした後また鏡を見てみたんですが、もういつも通りの自分の顔だったそうです。朝起きて鏡を見た時に感じた違和感も、最初から無かったみたいに消えていました。けっきょく何だったのか分からないし、もちろん思い当たる節もないしで只々気持ち悪い体験だったと話していました。

 玄関にある姿見とか洗面所にある鏡とか手鏡とか、普段何気なく鏡って見てると思うんですけど……そこにうつってるのは本当に自分なんでしょうか?もしかしたら別の何かが、鏡の中からこっちを覗いているのかもしれませんね。



 あぁ、あともう一つ。今の話をしてくれた友人……
















 なんか性格が変わった気がするんですけど、考えすぎですかね?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る