第6話 眠る青年

 図書館で初めて青年にあってからちょうど一週間がたった。


あの日から私はずっとあの図書館が気になっていた。


図書館にしては植物がたくさんあって私が今まで見たどの図書館とも異なっていた。


それに2階にいたあの青年。一人であの図書館を管理しているのだろうか。


2階にあったあのよくわからない言語で書かれていた本を見ていたのだろうか。いったい何の本なのだろう。しかもあんなにたくさん。


あの青年は図書館に私がいることに驚いてはいたけど、入ってきたことを何もとがめられていないのだから、入ってはダメということではないのだろう。




 今日は授業は午前中で終わるので、ご飯を学校で食べてそのまま図書館に行ってみようと思う。一階にあった机で勉強したらはかどりそうだ。


午前中、大学で先生の眠い授業を聞いて、軽くお昼ご飯を済ませて図書館へと向かう。


 図書館の前についてみると今日は扉は閉まっていた。


おそるおそる扉を押してみると、簡単に開いた。中に入ると相変わらず涼しくて、先週とおなじきれいな本と緑だらけの景色が広がる。


そのまま扉を通れるくらいに開いて、中にそっと入る。

そして元通りに扉を閉めてから、中を見渡す。あの青年は今日もいるのだろうか。


 入口向かって左側にあるカウンターを見ると、先週のあの青年が自分の腕を枕にちいさなな寝息を立てていた。それに合わせて背中が小さく上下している。私は起こさないようにしずかに奥の机へとカウンターの前をそっと通り過ぎる。


青年がもぞもぞと顔を上げる。私は青年のほうに顔だけ振り返る。青年は眠そうな目をこすりながら体を起こす。


「あれ、また来てくれたの?」


そういって私に向かって微笑む。私はちいさく、はいとだけ返事をする。


「そっか。好きなだけいていいよ」


優しい声でそういって青年はまた突っ伏して寝息を立て始める。こんなに静かな図書館では寝息も聞こえてきそうだけど、自分の腕を枕に心地よさそうに呼吸している。


いくらなんでも寝るの早すぎるなと思いながら課題をするために奥の机に向かう。

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