第52話ゴブリン



 探索131日目。




 俺は今、大量に買いまくって余ってしまった武器類を叩き売りしてる。直接、冒険者に売っても良かったのだが1人1人に対応するのが面倒だったので、商業ギルドに全部まとめて押し付けよう思たのだが、商業ギルドでも断られた。



「商業ギルドは武器商人じゃない。武器は武器屋に売れ!」って。そりゃあ、そうだな。



 で、先日購入した武器屋に、購入時の3割の値段で引き取って貰っている。驚いた事に、武器屋は自分の店で売った商品がどれかわかるようだ。よくよく聞いたら、それぞれの店で屋号が刻んであるらしい。職人の意地と誇りなのかな、俺にはよく解らない世界だ。



「姫、仕事も無事に完了したので、武器の処分が終わったら日本でゆっくりしたいんだが良いかな」



 ここ数日は、ダンジョンばっかりでマトモな食事もしてないから、日本で美味しい食事がしたい。お姉さんにサービスして貰うお店にも行きたい。



『ヨシオの給料は毎月14万円よ。計画的に使いなさい』



 でも、経費は別って言ってたから領収書があれば何とかなるだろ。高級な懐石料理食べ放題も良いな。オプション全部のせてサービス受けるのも良いな。夢が膨らむな。



「自宅に戻る前に、神殿に挨拶にも行かないとな。」




「ただいま!今日はナニを食べようかな!!」



『ヨシオ、テレビをつけなさい』



 久しぶりの休暇を楽しもうと思ったら、姫から横槍が入った。また、俺の知らない所で俺の会社が何かしたのか? なんか最近、俺だけ社会から取り残されている気がする。



 テレビに映し出される映像は衝撃的だった。上空からの映像で、ゴブリンの大群が地上を闊歩していた。



「これ。スタンピードじゃないのか?」



 その後も各国からの映像が流れた。どうやらスタンピードを起こしたのはアメリカと中国のようだ。ドイツは昨日ダンジョンが発生したようでまだ何も起きてない。日本は俺の会社が提供した装備でなんとかダンジョン内で戦えているようだ。俺!グッジョブ!!


 アメリカは近代兵器で攻略を進めていたようだが、結果的に大氾濫となった。


 中国は、コンクリートでドアを埋めたようだ。




「姫、どうしたら良い?」



『ゴブリンのダンジョンなら魔素の発生も高いから、草木が生い茂っている可能性が高いわ。人間にも活動しやすい環境だから利用価値も高いわね』



 何を言っているんだ?ダンジョンを発生させたのは俺だ。俺のせいでスタンピードが起きて大勢が苦しんでる。俺がこの騒動の原因なんだぞ。



「スタンピードを止める方法は無いのか?」



『そんな都合の良いものは無いわ。ゴブリンの大群はヨシオよりも遥かに強いわよ』



「これって、映画なら核を使う場面だが・・・現実でも使いそうで怖いな」



『核は無意味よ。爆発の爆風は意味があるけど放射能は逆効果ね。魔物は代謝をしてないから痛くも痒くもないわ。被曝したゴブリンが広範囲に広がって汚染地域を広げるわ。急いでゴブリンを倒しても、戦った人間が被曝するわ。負の連鎖ね』



 俺に出来る事は、核を使わないように願う事だけなのか。



「姫、今の俺に出来る事って何かあるか」



『ダンジョン素材の確保ね。海外にも売れるだけの装備を作れれば、日本と同様にスタンピードを防げるようになるわ』

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