第49話ビスケット



探索121日目。




昨日の戦いは酷かった。一晩休んでも体はガタガタだ。52才の体は簡単に回復しない。


正直に言えば、戦いの最後にポーションを飲んだので体力的には結構回復した。逆に、クソ不味いポーションを6本も飲んだせいで精神的に疲労してる。もっと飲みやすいポーションを誰か作って欲しい。体力が回復する反面精神力が落ちるポーションなんて誰が考えたんだ!


それでも頑張ったかいが有った。雪ダルマ殲滅でスキルオーブが2個もドロップしたのだ。戦いの最中、なんとかオーブを拾ってアイテムボックスに入れた。戦闘中は使う暇なんて無かったし、戦闘後は早く帰って寝たかった。



今回取得したスキルは【鍵解除】、【努力性肺活量上昇】だ。いつかは、役に立つと思う。思いたい。役に立って欲しい! だが、完全にハズレだった。



「姫、今日は体が思うように動かない」



『もう1本ポーションを飲みなさい』



「姫、ポーションでは回復しない物もあるんだ」



もうポーションは飲みたくない。姫には味覚がないから理解して貰えないだろうけど、飲むときに体が拒否反応を起こす程に不味い。



『何が回復しないのか詳しく聞きたい所だけど、時間が勿体ないわ。今日は攻略するダンジョンを探すだけで、攻略は明日からにしましょう』



ようするに、今日もダンジョンに行くのか・・・ 




「・・・姫。もう夕暮れだ。今日はこのドアで最後にしよう」



ダンジョンに入ってドロップを確認したら出る。という単純作業を繰り返している。魔物がすぐに見つかれば良いが、簡単に見つからないダンジョンも時々ある。4時間探してハンカチがドロップした時には涙が出た。



本日、9個目のドアを開けて入る。 フィールド型だが熱い。とにかく暑い。地球の岩石砂漠に近い。岩で出来た山が沢山見える。魔物は地上には見えない。



『ヨシオ、小石を拾って投げてみなさい』



魔物は地上には見えないが、上空を鳥のようなものが飛んでいる。地上には獲物もいない、天敵もいないのに、なぜ飛んでいるのだろう。魔物の生態は理解出来ないな。


小石を投げると鳥の頭に命中したようで、空中で黒い粒子になりドロップが落ちてきた。地面に落ちたドロップは砕け散った。小さく散乱した破片をよく見るとビスケットのようだ。



「姫、一応食料のようだが、これじゃ食べれないぞ」



『地上に落としてから、息の根を止めれば良いだけよ』



スキルがあるからと言って、そんなに器用に当てる事は出来ないと思う。実際今のも胴体をねらったら頭に当ってしまった。回数を熟したら何とかなるかな。練習が必要そうだ。


ビスケット以外にもドロップするのだろうか。チーズケーキとかがドロップしたら嬉しいが、それは明日のお楽しみかな。



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