第41話評判



 探索73日目。




 今日もダンジョンに来ている。出来るだけ、ラクなダンジョンが良いな。



『効率良く狩れるダンジョンを探すわよ』



 わざわざラクが出来ないダンジョンを探すのか。



『効率が悪そうなら直ぐに出て、違うダンジョンに入るわよ』



「姫、以前から思っていたが、そういった情報はギルドで聞けないのか」



『ヨシオは悪い意味で目立っているの』



 悪い意味ってなんだ。俺、誰かから嫌われてのか。



『ギルドからは、初日に騒ぎを起こした厄介者と認識されてるわ。ついでに、魔石を1日で大量に納品する程強いのに金属ドロップは殆ど納品してないので、行動が怪しいと思われてるわ』



 そう言われれば、その通りだ。



『他の冒険者からは、ギルド登録前からオーダーメイドの装備を用意してる成金で、商人ギルドに入り浸ってる金持ちのボンボンで、趣味で冒険者をしてるのがイケ好かない。一緒にパーティーを組んでも、見た事も無い武器を使い、体のサイズも違い過ぎて連携が取れるとは思えない』



 全部本当の事だが、俺ってそんな風に見られてたのか。



『こんな状態では、信用の出来る情報なんて何も無いわ。堂々と嘘を言われる事は思わないけど、未確認情報や噂程度の情報を流される事は有るでしょうね』



「俺の評判って最悪なんだな」



 直接的な攻撃が無いだけ、まだ良いとしよう。




「姫、良い感じのダンジョンが見つからないけど、今日は帰ろう」



『そうね。また明日にしましょう』



 今日は8個のダンジョンを廻った。其々色んな特徴は有ったが、どれも迷路型のダンジョンだった。ダンジョン内で1時間走っても1匹~5匹しか遭遇しない。どのダンジョンも1撃で倒せる弱さだ。戦ってるよりも走ってる時間の方が多い。






 探索74日目。




 効率が良さそうなダンジョンが見つかった。フィールド型のダンジョンで一面草原に見えたが、乾燥した土の上に苔が生えているだけだ。


 出て来る魔物は、緑のキツネだ。近くに行くと襲って来るが、遠くからだと保護色で解らない。


 結構群れているので、1度に5匹から10匹出て来る。最初に噛まれた時は驚いたが、全く痛くない。布団用巨大洗濯ばさみで挟まれた感覚だ。ただ、機敏に動いてすばしっこい。


 ドロップは色んな果物が出る。なぜか、赤い果物と緑の果物が、多くドロップする。戦いが長引くと、踏んづけてしまう事も良くある。


 イチゴがドロップした時は、俺も少しテンションが上がったが、近くのキツネがイチゴを咥えて逃げて行った。


 ”盗っ人猛々しい”とはこの事である。




 美味しそうな果物がドロップしたら食べてみる。地球産に比べると特に美味しくは無い。


 見た事も無いような果物も食べてみる。時々、美味しい物もあるが、見た目と味の不一致で旨いとは感じない。



『ヨシオ、このダンジョンは良いわね』



「姫が気に入ったようで良かったよ」



『明日から暫く籠ります』



「このダンジョンで何日も過ごすのか。夜は危険だろ」



『空を見なさい。太陽が無いわ。ここに夜は無いのよ。仮に睡眠中に襲われても、ヨシオならケガもしないわ』



 緑のキツネに襲われても、気付かずに寝てるだろうな。



『一旦戻って準備をするわ。主に私のバッテリーと商業ギルドへの挨拶ね』



 塩を売り始めてから、未だに2日に1回塩を納品している。暫く籠るなら打ち合わせが必要だろう。


 姫のバッテリーも出来るだけ多く持ち込んだ方が良い。ついでにドローンも必要かな。



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