第39話感動



 自宅に到着すると、大型トラックと物々しい警備員がゾロゾロいた。



『ヨシオ、インゴットを全部渡してあげて』



 ホテルから真っすぐに帰って来たのに、なんで俺よりも先にトラックが来てるんだ。警備員なんてドコから連れて来た。イツから雇ってるんだ。


 考えても仕方が無い。あの外国人達も、相当ハイスペックだったのだろう。




 異世界の宿に戻ると、商業ギルドから呼び出しがあった。どうやらスキルオーブが手に入ったらしい。3つ目のスキルを取得出来そうだ。



「2つ目のスキルは大ハズレだったから、次が楽しみだ」



『馬鹿と鋏は使いよう。豚に真珠。猫に小判』



「・・・」



 姫の言いたい事は解かる。どんなスキルも使い方次第で有用に使えるって事なんだろう。だが、俺が取得した2つ目のスキルは【美肌】だ。52才のオッサンには無用過ぎる。




 商業ギルドに行くと、2階に案内される。部屋の中には商業ギルド長のオンスがニコニコして待っていた。俺の商品で商業ギルドも相当儲かってるようだ。



「ヨシオ君、スキルオーブが手に入った」



 そう言って出して来たのは、スキルオーブが2つだ。



「全部買います」



「そう言うと思っていたよ。そこで相談なんだが、もっと買う予定はあるかい」



 欲しいとは思うが、そう簡単には手に入らないだろ。



「買えるなら欲しいです。お金なら有りますから」



 ああ。この言葉、いつかは言って見たかったよ。



「少々割高で良いなら、今後も手に入りそうなんだ」



 ギルド長から聞いた話によると、


 貴族は貴族の義務として、金貨100枚でスキルオーブを買い続けている。だが取得するスキルがハズレばかりで使う事に飽きていたらしい。使わなくても義務として買い続けるので不良在庫が増えていく。一部の貴族は手放す事は無いが、それでも結構な数を買い戻せる可能性がある。金貨110枚で手放しそうな貴族にアプローチして良いだろうか。


 という事だ。



 俺としては大歓迎だ。俺の資産は金貨7000枚を超えてる。とても使い切れない。



「金貨7000枚までなら出すので、話を進めて下さい」



「ありがとう。これで懐事情が改善した貴族は、更にヨシオ君の商品を爆買いしますよ」



 オーブ取引ではギルドは儲けを出せないが、俺の商品を売り付けて儲けを出すのか。これなら結構な数のオーブが手に入りそうだ。




 宿に戻って、買い取った2つのスキルオーブを使用する。



「姫、早速使ってみる。これで3つのスキルを持つ男だ」



 取得したスキルは、【キューティクル強化】。俺は、膝から崩れ落ちた。



「美容関係は要らない。52才のオッサンが美しくなってどうする」



 よし。忘れよう。 人間、切替が重要だ。



「姫、早速使ってみる。これで4つのスキルを持つ男だ」



 俺は思いっきりスキルオーブを破壊した。



「・・・なんだ? ・・・おっ ・・・これは」



 気が付いたら俺は、拳を握りしめガッツポーズをしていた。


 異世界に来て、長った、苦しかった。もう、これであの重さから解放される。夢の空間系スキル、【アイテムボックス】だ。



「姫、アイテムボックスだ!」



『ヨシオ、良かったわネ。容量は解かるの』



 容量どころか、まだ使い方も解ってない。



 今は、



 ただ、



 ただ、



 この感動を、



 味わっていたい。



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