第37話ルームサービス
探索68日目。
荷運びが一段落して、大金持ちになった。お金と言っても異世界のお金だけど。
これで優雅な暮らしが出来る。とは、ならなかった。
本日から、また”松茸狩り”をするようだ。具体的には、スコップでモグラ叩きをするのだ。
正直、キツい。途中でポーションランク1を飲まないと続けられない。1度モグラ叩きが始まったら7時間ノンストップだ。肉体的にも精神的にも、キツい。
「姫、まだ金属のドロップ集めるのか」
『あと3日間よ。その後の予定も決まったわ』
荷運びで日本に行く度、姫は誰かと連絡を取っていたようだ。着信音が無いので気が付かなかった。俺の知らない所で、俺の予定が組まれていく。
ポーションは腕の疲労には効いても、精神的疲労には効かない。俺の精神を癒してくれるお店に行きたいな・・・
探索70日目。
「もう”松茸狩り”は勘弁して下さい」
ノルマの3日間、松茸狩りを終了して宿に戻った。冒険者ギルドには、毎回申し訳程度に納品している。
今日までのドロップは殆ど宿に貯めてる。夜な夜な、色と重さで種類毎に分けている。そんな作業も今日で終わりである。
ドロップの数は計算上6万個以上だ。推定5万個は荷運びの復路でコツコツ日本の自宅へ運んだ。
「姫、今日の分も全部仕分けして、それぞれ袋にいれたぞ」
『明日は、それを全部持って日本へ行くわよ』
「まだまだ沢山ある。どんなに頑張っても1度では運べないぞ」
『大丈夫よ。たった3往復で運べるわ』
簡単に3往復と言うけど、スキル使っても片道1時間だぞ。
探索71日目。
自宅へ運び終わる頃には、正午を過ぎていた。
『車を出しなさい。今日の行き先は少し遠いわよ』
なんだか良く解らないまま、姫の道案内で車を進める。
運転する事2時間。ホテルの駐車場に入る。
『アポは取ってるわ。話は全部私がするからヨシオはインカムを付けてるだけで良い』
デジャヴ・・・ スワヒリ語のオッサンの再来か?
ホテルに来た理由も聞いてない。折角、高級そうなホテルに来たんだから、帰りには美味しいメシを食いたいな。
係りの人に案内されたのは最上階の部屋。
「姫、場違いな服装だと思うけど、このままで良いのか」
『大丈夫。ヨシオの服装は、異世界でも地球でも場違いよ』
部屋の中には、スワヒリ語のオッサンを始め10人程いた。人種も性別も年齢も様々だ。全員、どう見ても日本人ではない。
姫が説明か交渉か解らないが、話を始めた。姫は質問を受ける度に、それぞれ相手の母国語で返答するという荒業をしているようだ。会話の内容は解らないが、とにかく凄い事は解かる。
『ヨシオ、起きなさい。一旦休憩よ』
目を覚ますとルームサービスが届いており、各々食事をしていた。
「腹減ったな。今何時だ」
『もうすぐ午後10時ね。交渉は半分まで来たわ』
マジか・・・6時間は寝てた。 そしてまだ、半分・・・
「・・・、頑張ってくれ」
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