第33話記録
「ダンジョンの、あのドアは、なんですか?」
「世界をつなぐ道じゃ」
それぞれ独立した世界が存在していて、ドアがつないでるのか?
「どうして、あんなドアが存在しているのですか?」
「それはわからんのじゃ。最も古い記述にも、既にドアはそこにあったと書かれておるのじゃ」
「ドアが密集しているのは、なぜですか?」
「わからんのじゃ。いつからあの状態なのかもわからんのじゃ。街の歴史としては、ダンジョンが集まった場所を発見して近くに街を作ったのじゃ」
街が出来る前からダンジョンは存在していて、今も変わらないのか。つまり街はダンジョンが無いと成立しない。って事か。
「ここの他にも街はあるのか?」
「あるのじゃ。どの街もダンジョンの近くで、街の大きさはダンジョンの数とほぼ比例しておるのじゃ。ダンジョンの無い所では、ごく少数しか生きて行けないのじゃ」
「食料が無いからか」
「食料だけではなく、生活に必要な物資はダンジョンが無ければ手に入らんのじゃ」
「食料だけでも、自分で栽培すれば住める場所が広がると思うが」
「栽培出来るモノもあるのじゃ。”エノコログサ”や”ツルマメ”がそうじゃ。しかし他の植物には最初の種が無いのじゃ」
地球の種を持って来ても、巨大植物になって正常には育たないか。
『ヨシオ、知ってると思うけど、エノコログサは猫じゃらしの事よ。ツルマメは大豆の祖先よ』
姫がコッソリ教えてくれた。流石に猫じゃらしを栽培して喰え!なんて言えないな。これでは、なかなか人口も増えないし、文明の発展も難しいか。
「ダンジョンの中に、別のダンジョンのドアがある可能性はあるのか?」
「ある。と言われておるが、現在は確認出来ておらんのじゃ。ダンジョンは広すぎるのじゃ。入った事があれば解かるじゃろう。広すぎて入ったドアを見失えば戻れんのじゃ。一部のダンジョンは道しるべを置くようにしておるので割と帰りやすいが、それでも広すぎるのじゃ」
「今までに、ダンジョンの中で他の人、他の種族と有った事はあるか」
「昔、一度だけ訪れた者がいたようじゃ。その者が、”エノコログサ”や”ツルマメ”の種を始め、いくつかの植物の種を置いて行ったらしいのじゃ」
「その人は、どうなったのですか?」
「元の世界に帰ったのか、どこへ行ったのか、記録が無いのじゃ」
この異世界以外にも、誰かが住んでいる異世界があるのか。いつか行ってみたい気もするし、会ってみたい気もするが、ダンジョンは広すぎるからなあ。
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