第27話防御力

 探索52日目。




「姫、ダンジョンの入口はドコにあるんだ」



『街の外よ。冒険者ギルドから歩いて1時間ね。ヨシオならスキルを使って一瞬よ』



「目立つから走りたくない」



『昨日の件で、冒険者ギルドでは有名人よ。手遅れね』



 まだ誰とも戦ってないのに、俺の防御力はガンガン削られてる気がする。




 ギルドでの説明では、この街で冒険者の仕事は3つしかないようだ。


 1.ダンジョンに入る


 2.自警団として街の警備


 3.街の外で商人達の護衛



 警備と護衛はギルドが定める一定の水準をクリアしないと依頼を受けれない。ダンジョンに入るのは新人でも良いらしい。一攫千金を夢に多くの命が消えていくらしい。


 自分の命を掛け金として使うって、少し悩ましい。全財産を掛け金にした俺が言えた事ではないが。



 冒険者ギルドの決まりとして、ダンジョンに入る前にギルドで申請が必要だ。30日以内に戻らないと登録が抹消される。27日後に生還した人がいるのが理由らしい。登録抹消されても、お金を払えば再登録は出来るので気にしなくても良い。


 無申請でダンジョンに入ってもバレないような気がするが、申請しないと経歴として認められず、警備や護衛といったラクで安全な仕事が遠のくらしい。信用を得るため下済みとしてのダンジョンに入るのか。


 ダンジョンの戦利品は冒険者ギルドで買い取ってくれる。勿論売らずに自分で使っても良い。俺は商業ギルドにも登録してるので、冒険者ギルド以外で売却しても問題ない。



 拠点がある方角とは別の門から街を出る。道に迷う事もなく、本当に1時間程で到着した。同じようにダンジョンに向かう冒険者と、街へ帰る冒険者で道はかなり混んでいた。終点らしき場所には冒険者が200人以上は見える。


 順番待ちがあるのかな?冒険者同士のルールは解らないが、前を歩く冒険者の後をついて行けば良いか。



「姫、あれがダンジョンの入口なのか」



『そうらしいわネ。実際に見たのは初めてよ』



 俺のイメージでは、洞穴の入口とか、地下に降りる階段だ。だが、あれはどう見ても”ドア”だ。木製から金属製まで様々なドアが43個ある。引き戸もあれば、観音開きもある。風呂場で良く見る、折れ戸もある。



「なんだコレ? こんなんで良いの? 異世界」



『ヨシオ、何か思い出さない?』



 その通りだ。これがダンジョンなら、俺の家もダンジョンって事にならないか?俺の家がファンタジーの世界につながった。と思っていたが、俺の家がファンタジーだったのか?



 俺の頭は大混乱だ。最終的に俺の出した結論は、


「未来から来たネコ型ロボットが色んなドアを設置して遊んでる」だった。



『ヨシオ、バカな事言ってないで入るわよ』



 今まで異世界の不思議を論理的に説明してきた姫だ。いつか、ドアの件も論理的に説明してくれるハズだ。


 俺は、他力本願で生きて行こう。

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