第18話地球産
探索37日目。
今日は探索をしないで、金貨を売って日本円を得る日だ!
長かった。途中で食料が尽きた時は本当に絶望した。毎日、日本には戻って来てもお金が無くて何も買えない。結局、白い何かの肉を食べ続ける日々。いくら味付けを変えても毎日だと飽きる。7日前に異世界で購入した食材は多少あるが、やはり馴染みのある日本の食材が良い。今日くらいは定食屋で良いからマトモな食事がしたい!
今回換金できる硬貨は金貨が330枚、銀貨が1200枚だ。異世界での生活の事も考えて多少は手元にも残している。これも姫が決めたのだが結構な金額になりそうだ。
1週間ぶりにヤッテ来ました”金買取専門店”。今回は、キチンとお客としての来店だ。
流石に枚数が多く、2日後にもう一度来て欲しいと言われたが断った。交渉の結果、8時間後にもう一度来店する事にした。
こちらも1週間ぶりにヤッテ来ました”銀シルバー買取専門店”。8時間待つ間に銀貨を売りに来た。
流石に枚数が多く、7日後にもう一度来て欲しいと言われた。交渉はしたが「物理的に本日中は無理」と言われてしまった。来週もう一度来よう。
さて、本格的に時間が余った。金買取専門店の約束まで、あと7時間。何をしよう。
『ヨシオ、金買取専門店にもう一度行くようだけど、どうして』
「今日、現金を受け取る為に決まってる」
『残念ね。あの店舗にはそれだけの現金は無いわ。後日振込になるわ』
店員からは何も聞いてない。店の前に《現金買取》と書いてあったぞ!
「ちょっと。店舗に行って確認する」
姫は店舗にある現金の量まで把握できるのか?デジタル化されてないだろ。俺もスキルホルダーなのに、姫と俺の能力差が激し過ぎる。
本日2回目の”金取引専門店”到着。
姫の言う通りだった。明日の朝、振り込み出来るようなので手続きをして帰る事にした。店の人に、振り込みされる金額の概算を聞いたら2千万円前後と言われた。マジですか。父の退職金よりも多い。
『ヨシオ、もう良いでしょ。帰るわよ』
結局、今日は日本での美味しい食事が出来ないって事だ。
俺は気落ちしながら運転し帰路につく。寿司とは言わない、せめてトンカツくらいは食べたかった・・・
そんな事を考えていたら余計腹が減った。
自宅へ到着し、玄関を開けようとした時に俺は思い出した。
「トマト、1カ月以上放置したままだ」
庭を通り抜け家の裏に行く。トマトが赤くなっていた。トマトを2つ収穫して家に入る。
「ああ。そういえば、液体肥料与えるの忘れてたな。今更だし、与えなくても良いか」
久しぶりの、地球産の味は旨い。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます