第17話ポーション

 商業ギルドを出てからまだ数分しか歩いてないが、周囲の目が気になる。この街に入ってからずっと感じていた。



「姫、相談なんだが・・・馬車とか買わない?」



『無駄使いね。検討する価値も無いわ』



「この街に来るの2回目だけど、周りの人が全員俺を見るんだよ」



『自意識過剰ね。気にしなければ良いわ。 それか慣れなさい』



「俺がデカ過ぎるのが原因だと解ってるけど、ジロジロ見られるのは嫌なんだよ」



『それだけが原因だと思ってるなら、・・・幸せネ』



 姫が不吉な事を言った。俺が目立つのは身長の件以外にも有るのか。



「姫、詳しく聞きたいんだけど」



『教えた所で対応策は無いわ。それよりも携帯電話のカメラの位置に気を付けなさい。何を売ってる店か見えないわ』



 姫が対応策を見つけられないなら、俺が知った所で何も出来ないな。



「姫、全部の店を携帯電話のカメラで確認しないとダメなのか?」



『ヨシオがもっと目立って良いなら、簡単な方法が有るわ。街中でドローンを飛ばしましょう』



「・・・」




 疲れた。【移動能力上昇】スキルが有っても、1日で往復するのはキツイ。


 今日は結構色んな物を買った。運ぶのに一番苦労したのは、俺の食料だ。コンビニ袋は存在しないので、野菜や果物を持つのに苦労する。今回は見た事が無いような食材を中心に購入した。お金が出来たから少し冒険をしてみた。



 姫は金属の延棒か無加工の金属の塊を売っている店を探していたようだが、見つからなかった。まだ周ってない店も有るので、次回に期待だ。



 そして本日の目玉商品が、ポーションだ。現代医学がひっくり返る魔法の薬だ。買えたのは、ランク1が4本と、ランク2が2本だ。本当に効果あるのか解らないので大量には買わなかった。 



 ランク1は、擦り傷、切り傷が治るらしい。値段は銀貨1枚。銀貨1枚は1万円相当だ。こんな金額設定で売れるのか?店の人に聞いてみたら1日10本以上売れてるらしい。本当にそんなに売れてるのかな?



 ランク2は、骨折程度なら治るらしい。値段は金貨1枚。骨折を治すのに10万円相当。安いのか高いのか解らない。これも売れているのか聞いたら1日30本以上売れてるらしい。この街の人、骨折し過ぎだろ! どんな生活してるんだよ!!



 ランク3以上は予約販売らしいく購入出来なかった。因みに、ランク3は切断した手足が新しくはえるらしい。そんな大ケガ頻繁にする訳ないだろ。それなのに予約販売って商売の仕方間違ってるだろ。値段は白金貨1枚だそうだ。


 現代医学に喧嘩を売る魔法の薬だ。姫にそんな事を言ったら『テロメラーゼのコントロールと、人工臓器分化技術が発達したら似たような事は出来るでしょ』と言われたが、俺には意味が解らなかった。



 ポーションは現地の人には、たぶん効果がある。だが、地球人にも効くのだろうか?


 試すのにワザとケガをするのは嫌なので、姫に提案してみた。「前回協力してもらった野良猫さんに試すのはどうかな」


 姫の回答は『倫理サブルーチンが有るので動物虐待は出来ません』だった。


 都合の良い時だけ働くサブルーチンって良いネ!

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