勇者と魔王と考え方!?

「ヤエサーン、ワタシタチキタヨ、オハナシシマショ」


これはまずい…

カタコトが面白すぎて全く頭に入らない!!!


『あ、はは、よろしくお願いします〜』


「チョ、ヤエサン、ナニワロテンノ?」


ちょwww

方言プラスカタコトはまずいwww


全く頭に入らない!!!!


「モ〜、ハナシキイテル〜?」


wwww


「…師匠…」

「…なんだい?ナビ…」


「ヤエさんの腹筋が崩壊しそうですよ?」

「楽しそうでなによりじゃないか…」


「…いや、それを見てるこっちの腹筋も崩壊しそうですよ?www」

「まって!まって!わかってるから!!www

我ながらとんでもないミスしちゃったって思ってるから!!!」


「モ〜ウ、ヤエサンシッカリシテ!ワタシタチ、オナジキョウグウ、ナカーマデショ?」


『あ、はいwwww』


ダメだ。

顔のシリアスさと、言語が全く噛み合わないwww


何が上級魔法だ!!

ポンコツじゃないか!www


「ちょwwヤエちゃん、ごめんwww

魔法ミスったww」


『わかりますよ!こんな状況じゃwww』


「マホーウ?ミステイク?ナニワロテンノ?」


「や、やめてwww」


全く収拾がつかないのでギャランさんとジーポさんにはお引き取り願った。


ーーーーーーーーーーーー


『あの〜、こんなんじゃ笑えすぎてまともな生活できなそうなんですが…』


「ご、ごめんね、ヤエちゃん」


「ほら!師匠が余計なことするから!!」


「いや、でもいろんなケースを試さなきゃいけない事情もあるし…」


「それはわかりますけど…」


『とりあえず、カタコトに聞こえるのなんとかなりません?』


「やってはみるけどあまり期待しないでほしいな…

私としてもこんなケースは初めてなんでね…」


「それにこの言語共通化の魔法は脳に負担が大きくてね、寝ている間にしか新しくはかけれない。」


『じゃあ最短でも明日の朝ですか…』


「そうなりますね。まったく師匠が変なことしなきゃ…」


「ご、ごめんて…」


『せっかく情報の擦り合わせしようと思ったのに台無しですよ!』


「まぁね、でも、魔法に限らず便利なものでも故障だったりトラブルはつきものだよ!ましてやこんな世界ならね!」


『それは…そうなんですが…』


「でも、あれですね、今日の予定が一個あいちゃいましたね。どうします?」


『どうっていっても、言葉はわかるようになっても字はわからないし…って、ああ!!』


『字って読み書きできるんです!?』


「あぁ、それね。読みは魔法のおかげで認識できるけど、書くのは覚えなきゃいけないね。」


『えぇ…できますかね…』


「うーん、ヤエちゃんとこの基準で言うとローマ字の読み書きがそれに近いかな?」


…ローマ字をしってるの??

これも魔法の翻訳的な効果でいい感じに変換してくれてるのかな??


「例えば、①①で『あ』、①②で『い』みたいな。」


『なるほど、となるとわたしの場合、⑧①①④ってことですか?』


「正解!飲み込み早いね!」


『これならすぐ書けそう!』


でも…


『濁点とかはどう表現するんです?』


「⑥①゜で『ぱ』とかかな。」


『なるほど。』


これで会話と読み書きはできそうだ。


ーーーーーーーーーーーー


「じゃあ、後はカタコトの魔法なおせば明日から街にでて就職活動できるね、ヤエちゃん!」


『う〜…

緊張するなぁ…』


「仕事をしなければ食べていけないから仕方ないですね。無職で食べていけるのは王族くらいです。」


『!』


『そういえば、この街にはそういう王族だったり、勇者的なのだったり魔物だったりとかいるんですか!?』


「う〜ん、ヤエちゃんが元いた世界のことは知らないけど、王族はともかく、勇者や魔物ってなに??」


『えっと…、勇者は魔王を倒す者で、魔物は魔王の手下的な??』


「おかしな話だね笑」


『なにがです??』


「察するに、勇者ってのは正義の代行者的な存在、魔王ってのはその対…、つまり悪みたいなものでしょ?」


『それがなにか??』


「つまりだよ?立場が違えばものの見方や考え方も変わるって話で、勇者サイドからみた魔物は人類に仇なす悪者かもしれないけど、魔王サイドからしたら勇者がそれにあたるんだよ。」


「そういった話だと、この世界には勇者も魔王もいない。厄介な獣の類はいるけどね。でもそれらは明確な悪意があるわけじゃなく、彼らも自分らが必死に生きる為に結果として私達の生活に害があるってだけ。」


目からウロコだった。


言われてみればその通りだ。


立場が違えば考え方や見方もかわる。


元いた世界でもこういった考え方ができれば何か違ったかな?


「…たまーに師匠っていいこと言いますよね。」


「はっは!天才ですから!」


「…そういうお調子に乗るとこがなければ、より、いいんですけどね。」


『………』


「…?

どした?ヤエちゃん?」


『…いや、自分の考えの浅さに考えを巡らせてました。』


「まあまあ、そんなに気にしないでよ。世の中生きてるもん勝ちよ!」


「そうですよ!師匠なんてなーんも考えてないですよ?楽しい魔法の開発くらいしかしてないですもん!」


「この前なんて、指パッチンで火が出たり物が切り裂けたらかっこよくね?とかいって1日指パッチンしてましたよ!!」


「いや〜、あれは楽しかった!」

パチン


瞬間、顔の横を凄まじい風が通り抜け、

気がつくと頬には薄い切り傷ができていた。


『!!!?』


「あっぶな!!!!!!!!」


「師匠!!!!!!!」


「ごめん!魔法の術式をそのまんまにしてた!!!!」


危うくわたしは真っ二つになるところだった。


なるほど。

たしかに便利だけじゃないな。

正しく使わないと被害もでる…


魔法って怖いな。


わたしはそう思った。



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