警告と定職!?
「あやうく死人がでるとこだったそうだね?」
「…いえ、けっしてそのようなことは…」
「言い訳はけっこう。」
「…はい。」
「人はいくらでも補充がきくとはいえ、人命は軽んじてはならん。」
「今後このようなことがあれば、資金、物資、ともに援助は打ち切らせて頂く。」
「我々は君の才能に期待していることを忘れないように。」
「はい、心得ております。」
「けっこう。それでは次はよりよい報告を期待している。」
「はい、それではまた…」
ーーーーーーーーーーーー
「師匠…
だいぶ絞られてましたね…」
「しょうがないよ、指パッチンで死人がでたらシャレになんないもん。」
「それはそうですねぇ…」
「私達はスポンサーありきだからね、ご機嫌は損ねないようにしないと。」
「とはいっても、師匠ほど技術の発展に貢献してる人もなかなかいないんで、多少のことは大目に見てくれると思いますけどね…」
「だといいけどねぇ…
で?犠牲者になりそうだったヤエちゃんは?」
「言語知覚の修正施術の後ですからね、まだぐっすりですよ。」
「そっか。でも目が覚めたら今日は仕事だからね。案内してあげてね。」
「わかってますよ。とりあえずは農家に住み込みでいいんですよね?」
「そうだね、どんな適正があるかはわからないけど、自分の育てた物を収穫して、それを食べる。自給自足の経験は何にでも生きてくるよ。」
「了解です!」
「よりよい世界の為に…」
ーーーーーーーーーーーー
…
……
………
あー、なんだったっけ。
そうだそうだ、昨日は起きて、ギャランさん達の話聞こうとしたらなぜかカタコトで、それがツボって、結局話はなくなったけど、指パッチンで死にそうになったんだっけ…
…
よくわからない1日だったな…
「あ、起きてた。」
『おはようございます、ナビさん。』
「おはようございます、ヤエさん。」
「今朝、斡旋所を見てきたら早速ヤエさんに仕事の斡旋が入ってましたよ。農家のお仕事。」
『もうですか?早いですね…
昨日の今日ですよ?』
「この街では、働かざるもの食うべからず!が根付いてますからね。仕事を求めてる人がいたらみんな気を使って仕事を回してくれるんですよ。」
『なんだかいいような悪いような…』
「贅沢いっちゃいけませんよ?ヤエさん。世の中無職の人だらけじゃまわりませんからね!」
『まぁそうですね、頑張って働きますよ。
具体的にはどんな仕事なんですかね?』
「そう思って概要が書かれた紙をもらってきましたよ!
えーっと…」
未経験でも大丈夫!
優しい先輩が教えてくれます!
簡単な軽作業!
「…ですって。」
『ぜんっぜん具体的じゃないですね…』
「ま、まぁまぁ!!
今の時期なら作物の収穫だと思いますよ!!」
『どんな作物なんです?』
「今の時期だと…
だいじん、と、にんこんあたりですかね。」
『????』
『なんです?それ?』
「何って言われても…
そういう作物としか…」
一体なんなんだろう…
ネーミング的に、だいこんとにんじんのミックス的なものなんだろうか??
この世界はそういう物が多い気がする…
「とりあえず、昼からその職場に案内しますね。」
わたしは頷いた。
それにしても、この世界にきてからトントン拍子に事態が運びすぎてないか??
元の世界との多数の共通点に、展開の早さ…
何か仕組まれてるような気もするけど、言語の共通化なんて現代科学じゃできないだろうし…
わたしはこの不可思議な状況にとても困惑していた。
「ヤエさーん?大丈夫?」
『あ、ごめんなさい、ちょっとボーっとしてました…』
「…そうですか。
じゃあとりあえずまた後で。」
そういったナビさんは軽く手を振って部屋を後にした。
その態度が何か引っかかりこっそり後をつけてみた。
階段を下り、少し先の部屋で何か話しているようだったので、壁に背をつけ聞き耳をたてた。
「……ですよ。」
聞こえづらい…
「小出しの……の中、この世…の違和…
…のようです。」
断片的にしか聞こえない…
「あはは!だろうね!中々どうしてキレそうじゃない。」
意識を耳に集中し、会話を聞くことに没頭することにした。
「ですね。言う事を聞くだけのよいこちゃんより、こっちのほうがいいですよ。」
「でもまぁ情報は小出しにね。確信が持てない程度に。」
「わかってますよ。でも…」
「なんならこの会話が聞こえてても私はいいと思いますけどね。」
「その心は?」
「少ない情報を頼りにこの世界のことをもっと知ろうとして思考を巡らすじゃないですか。」
「ふむ。」
「この世界はなんなのか、何が起きてるのか。
そしてその中で自分はどうすべきなのか。」
「そういった自分の力で切り拓く力、それこそがこの世界で必要なものだと思うんですよね。」
「うん、一理ある。」
…………
多分、ナビさんとQ2ちゃんの会話なんだろうけど、一体わたしに何をさせようとしてるんだ?
と、考えているうちに近づいてきた足音に気がついたが、時既に遅しだった。
『…あっ』
「こんなところでなにやってんの?」
眼の前にはカタコトではないギャランさんがいた。
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