第7話【月星コラボ配信③】

 俺とルナちゃんがコラボ配信をしている一方、同時刻にとある配信が行われていた。

 それはアリスちゃんと雫ちゃんのコラボ配信だ。

 内容は俺とルナちゃんのコラボを見ながら雑談をするというものだった。


『本当にヤダ! 彼方くん何してんの! 絶対に許さないから』

『これは彼方くん何も悪くないでしょ』


:諦めろ雫

:運も実力のうちだ。


 雫ちゃんとアリスちゃんは配信が始まってすぐにとある賭けをしていた。

 それはルナちゃんが俺に一勝でもできるかどうかという賭けだ。

 雫ちゃんはできないに、アリスちゃんはできるに賭け、勝った方が負けた方に罰ゲームを課すというものだ。


『え……アリスちゃん信じてるよ……? 優しい罰ゲームにしてね?』

『でもなぁ~、彼方くんに何してんの! なんて言ってたしなぁ~』

『ね~! 言ってないってぇー!』


:息をするように嘘を吐く女

:これは容赦なしで良いよアリスちゃん


『リスナーの皆もそう言ってるしな~。まぁルナちゃんもこの前やってたし雫ちゃんもホラゲー配信いってみようか』

『私、雨宮雫は今日をもちましてVTuberを引退させていただきます。みんな今までありがとう。大好きだよ』

『ダメです。させません』

『ねー、本当にやだ! ホラゲーはもうトラウマだから! 私がどうなってもいいのか⁉』

『諦めなさい雫ちゃん』


 その後も約十分間罰ゲームの変更を訴えた雫ちゃんだったが、結局ホラゲー配信をする事になった。





『えーっと……一対十四でルナの勝ちかな?』

「俺の勝ちですね」


:彼方、勝ってくれてありがとう。

:これでこそ彼方だ。

:ルナちゃんはいつになったら勝てるのだろうか……。


「じゃあ約束通りルナさんにはまた今度セリフを投稿してもらいましょうか」

『あー! 本当にやだ! 同じVTuberの人にセリフとかASMRとか聞かれるのが一番恥ずかしいんだから!』

「俺はボイス系は一切やった事ないから分からないですね。そもそも俺のボイスは需要ないですから」

『え! 需要凄くあります! 是非やりましょう、今すぐやりましょう!』

「嫌ですけどルナさんが今回の企画をまたやって俺に勝ったら考えます」


:ルナちゃん絶対勝て。

:負けたら登録解除するぞ。

:次勝たなかったらいつ勝つんだ。


『ちょっと任せてみんな! ルナ毎日十時間練習するから!』


:二十四時間やれ

:甘えんな

:それが許されるのは小学生までだよな。


『え、ちょっとみんな今日ルナに当たり強くない?』

「ま、まぁみんなもそれだけ期待してるんですよ」

『でも次は負けません!』


 こうして無事にルナちゃんとのコラボ配信は終わった。


『今日はありがとうございました!』

「いえ、こちらこそコラボありがとうございました」

『あ、そういえば配信中にアリスちゃんから連絡が来ていたんですけど、彼方さんって次の土曜日空いていたりしますか?』

「空いてますけど……どうかしました?」


 土曜日はホラゲー配信をする予定ではあったが、別に違う日でも困りはしない。


『彼方さんの都合が良かったら三時にブイラブの事務所に来てもらうことってできますか? これからの事についてお話したいみたいです』

「これからの事……?」

『彼方さん、今日からブイラブの二期生になったみたいです! 私たちと同期ですね! 今日からおねがいします!』

「今日から!?」


 いやいや、確かにアリスちゃんが社長に聞くとは言っていたけどあまりにも早すぎないか!?

 てか面接とかなしでいきなりメンバー入りってマジかよ。

 ブイラブのオーディションの倍率エグイって聞いたことあるんだけど……。


『でもまだブイラブに所属した事は誰にも言わないでほしいみたいです』

「分かりました」

『それと雫ちゃんからも彼方さんに伝えてほしい事があるみたいで』

「雫さんが?」

『彼方くん絶対に許さないからね……だそうです』

「え……俺何かしました……?」


 俺まだ雫ちゃんと話したこともないのになんでそんな事言われてるんだ……。

 


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