第5話【月星コラボ配信①】

「うわぁ……緊張する……」


 遂にやってきたルナちゃんとのコラボ配信。

 ルナちゃんのチャンネルでの配信ということもあってか、待機人数は二万人を超えている。

 

 コメントは既に読めない速さで流れて行っている。

 そしてSNSでは【月星コラボ配信】がトレンドしていた。


『か、彼方さん準備は大丈夫ですか?』


 俺とルナちゃんは通話アプリを使って通話をしている。

 この前はアリスちゃんも居たけれど今回は俺とルナちゃんの二人だけの通話だ。過去一緊張している。


「はい、大丈夫です」

『じゃあ配信始めますね! 彼方さんはいつも通りの感じで大丈夫ですからね! 私もなるべくいつも通りに配信できるように頑張ります!』


 俺はいつも配信時にコメントを確認する用のモニターで配信が開始されたのを確認した。

 なるべくいつも通りを意識するんだ……。


『やっほーみんな~! こんルナ~! ブイラブ所属のアイドルVTuber月宮ルナです! 今日は告知していた通りあの星乃彼方さんとのコラボです!』

「こ、こんばんは~。個人VTuberの星乃彼方です。ルナさんみたいな大物VTuberの方とのコラボでめちゃくちゃ緊張してます」


:いつもの彼方と全然違うw

:緊張してるのめっちゃ分かるw

:ルナちゃんも絶対緊張してるでしょw


『うん、ルナも凄く緊張してる……それでみんなに一つ言わないといけない事があってね。本当はこの前のホラーゲームの続きを彼方さんとプレイするつもりだったんだけどね……家に一人の状態でプレイはルナ絶対にできないから今日は違うゲームで遊んでいこうかなって思います』


:マジか! ホラゲーめっちゃ楽しみにしてたのに。

:でも彼方がホラゲー以外やるの中々ないからそれはそれで良い。

:それでどんなゲームやるの?


「まぁルナさんにはまた今度新しいホラゲーをやってもらいましょう」

『ちょ、ちょっと彼方さん!? 絶対にやらないですからね! それと今日やるゲームはね【全国ゲーム対戦39】をやっていきます』


 全国ゲーム対戦39というゲームは将棋やオセロ、五目並べ、トランプゲームなど39種類の色んな遊びがプレイできるゲームだ。


:果たしてルナちゃんは今日初勝利を飾ることはできるのか。

:彼方意外と頭良いからな~。

:今回も罰ゲームはルナちゃんで確定だな。


『ちょっと! なんでもうルナが負ける事が決まってるの! 一応言っておくけどルナも頭良いからね! それに企画の勝負では全敗だけどゲームでは勝ったことあるからね!』

「ルナさんのこの企画は全部見てますけど、負けたら恥だと思って挑みます」

『も~! 彼方さんまでそんな事言ってくるんだ!』


:ルナ……今までの事をよーく思い出せ。彼方が正しい。

:ルナちゃんが勝つ想像ができないw

:彼方がこれでポンだったらそれはそれで推せるw

:今回の罰ゲームはなんだろう。


『良いも~ん。勝って皆に謝らせるんだから。それで彼方さんのリスナーさんでルナの配信見たことない人も沢山居ると思うからもう一度この企画をおさらいしていくね。一時間の間に色んなゲームをして勝利数が少なかった方が罰ゲームって簡単なルールだよ』

「因みに罰ゲームは予め雫さんとアリスさんで決めてもらいました。俺が負けたら一ヶ月SNSのアカウント名に月宮ルナに負けた男と付けるのと、激辛料理を配信で食べる……らしいです」


:うわぁ……それは付けたくないな……。

:そんなの付けたら末代までの恥だぞ彼方……。

:負けたら一生のネタにされるぞ……。


『ねー! ちょっとライン超えてるって! そんな恥じゃないからね!』

「それでルナさんが負けた場合はちょっと恥ずかしいボイスを投稿する事だそうです」


:彼方、勝ってくれてありがとう。

:彼方、お前は今日から英雄だ。

:彼方、分からせてやれ。

:ルナちゃん、おつかれ。


『ふんっ! もうこんな人達無視して始めましょ、彼方さん』


:拗ねたw

:¥5000 拗ねたルナちゃん可愛いwww


「えーっと、じゃあまず一回目のゲームは俺から選びますね。……ん〜、ルナさんがやった事ないゲームにしようかなぁ」

『あ! 彼方さんそれズルですよ! 不正です不正!』


:クソガキやめろw

:どのゲームやっても結果は変わらんw


「じゃあこのコネクトフォーってやつにします。多分ルナさんやった事ないんじゃないかな」


:配信ではやってるところ見た事ないな。

:ルナちゃんに頭脳系は……。

:何秒で終わるかな。


『コネクトフォー? はどんなルールなんですか?』

「ルールは簡単ですよ。縦六、横七マスの板に上からメダルを入れていって、自分の色のメダルが先に四枚並んだら勝ちっていうルールです」

『それならルナでもできるよ! え、ちゃんと見ててねみんな。ルナがポンコツじゃないって見せてあげるから』


 そう言ってルナちゃんはゲームをスタートした。


『ルナからかな。う~ん。じゃあ真ん中で』

「じゃあお隣に」

『じゃあルナは反対側に』


 最初の数手は極普通にゲームが進行していった。

 けれど勝敗が決まるのにそう時間はかからなかった。


:あー、終わった。

:彼方の勝ちだな。

:早すぎて恥ずかしいよルナ。


 ルナちゃんが今入れた箇所の上に俺が入れればダブルリーチとなり、ルナちゃんが次にどこに入れても俺の勝ちになる。

 勿論俺はそこにメダルを入れた。


『あ! これ横にリーチになってるからここに入れないとルナの負けになっちゃうね!』


 そう言ってルナちゃんは一つのリーチを塞いだ。


『ほら! ルナだってちゃんと頭使ってぇぇぇええええ!』


:頭使ってないねw

:ちゃんと頭使おうねw

:ポンコツじゃない所見せるって聞いたんですけどいつ見せてくれますか?


 ゲーム画面には、俺の名前の上にWinner、ルナちゃんの名前の上にはLoseと表示された。


『ちょっと彼方さん! ルナ斜めもありなんて聞いてないです! もう一回やりましょう!』

「あははは、良いですよ」


 こうして二回戦目が始まったが、結局さっきと同じような勝ち方で俺の勝ちとなった。

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