第3話【世界一怖くないホラゲー配信】
「お待たせー皆」
:お、始まった!
:きたーー。
:このゲームめっちゃ楽しみにしてた。
:月宮ルナ✓ 薄目で見てます……。
:ルナちゃん居たw
「おぉ……マジでルナさん見てくれてるんだ……。あー、それで今回はこのゲームをやっていきたいと思います。このゲームね、なんか世界一怖くないホラーゲームって言われてるんだよね。もうそれホラーゲームなのかどうかも怪しいけどやっていきます」
そう言って俺はスタートボタンをクリックした。
「結構暗いな。ここはビルか? あ、それとこのゲーム結構早く終わるみたいなんで終わったらちょっと雑談でもしようかなって思ってます」
:彼方が二回連続で雑談するなんて珍しいな
:なんやかんや彼方の雑談も面白いからもっとやってほしいんだよな
:分かるw
「えーっと、ここは廊下で一方通行だね。後ろはエレベーターで……ボタンは反応しないっと……じゃあ進むしかないね」
俺は暗い廊下をただ真っすぐ進んで行った。
「お!? 急に明かりが付いた。……ん? なんか前に居ない?」
:猫葉アリス✓ 今ルナちゃんと隣で一緒に見てるんだけどめっちゃ怖がってるよw
:まさかのアリスちゃんも見てたw
:直ぐに終わるから大丈夫だよw
:てか二人一緒に居るんだ。てぇてぇ。
「おぉ! めっちゃ走って来るんだけど! もしかしてエレベーターまで戻れって事⁉」
:猫葉アリス✓ ルナちゃん大絶叫w
:なんか簡単に想像できるw
:またアリスちゃんに抱き着いてるのかな。だとしたらてぇてぇ。
「え? エレベーターなんも反応しないけどどうすれば良いの? めっちゃ走って来てるし。え、これチュートリアル的な感じ? あ、開いた」
俺はエレベーターに乗り、上の階へと上がった。
「…………おいおいちょっと待て待て。これって…………っあはははは! だろうな!」
:挟まったw
;謎すぎるwww
:やっぱり何回見ても笑うわw
:ルナちゃんもこのゲームを最初にやればよかったのに。
:猫葉アリス✓ どうやらルナちゃんはこれでもダメなようです。
:マジかよw今までのホラゲーで断トツで面白いけどw
:もうこれホラゲーじゃないだろw
「ってドア開いたし。こいつなんか持ってたりしない? えーっと……【この幽霊、死んでる】当たり前だろ。死んでるから幽霊なんだよ。何も持ってないし。こいつが来た道に進めって事か?」
エレベーターのボタンを押したり周りを見てみたが何もなかったので俺は幽霊が走って来た道へと進んだ。
「あれ? ここ進めない」
歩いていると謎の壁のようなものがあり前に進めなくなっていた。
:これ硝子があるだけで右から周れば進めるぞ。
:マジでなんでここに硝子があるのか謎。
「あー、硝子があるって事か。……ん? ムービーになった」
右側から周り、硝子の向こう側へと進むと突然操作ができなくなった。
ゲーム画面はゆっくりと後ろへ振り返った。
「え⁉ あいつ起き上がったんだけど」
さっきエレベーターに挟まれた幽霊が突然立ち上がり、こちらを向いてきた。
そして再び俺の方へ向かって走って来た。
「また走って来てる。え、なんも操作できないよ⁉ おいおいまさか…………っあはははははは! お手本のようなぶつかり方するじゃん」
幽霊は硝子に思いっきりぶつかって跳ね飛ばされた。
「え!? 終わり⁉」
突然画面に制作に携わった人の名前が表示され、画面は最初のスタート画面戻った。
「どういうストーリなのこれ。全く分からないんだけど」
:もう終わりだよw
:ただ幽霊が自爆するだけのゲーム。
:ストーリーは幽霊を退治してほしいって依頼を受けた主人公が幽霊を退治するっていうストーリー。でも幽霊が自爆して依頼は完了。
:因みにエンディングはこれ一つしかないからw
「そういうストーリーなのか。え、どうしよう思った以上に短すぎたんだけど」
:もう雑談行こう。
:ルナちゃんとかとのコラボの話も聞きたい。
:てかコラボの話は進んでるの?
「いや、まだコラボの件に関しては全く話してないよ。いや、まさか急にコラボしてくれることになるなんて思っていなかったし、コラボ自体が初めてだからどうしていいか全くわからなくてさ」
:月宮ルナ✓ すみません! コラボの詳細等は配信終わったら直ぐに連絡させてもらいます!
「あ、全然急がなくても大丈夫ですよ! ルナさんも忙しいと思うので時間空いてる時で全然大丈夫です」
:まさか彼方がルナちゃんとコラボするなんて思っても見なかった。
:個人VTuberと有名企業のトップVTuberがコラボとか前代未聞だわw
:しかもホラゲー超得意なVTuberとホラゲーが世界一と言っても良いほど苦手なVTuberのコラボw
:神配信の匂いしかしないw
「それは俺が一番びっくりしてるよ。言ってなかったけど、ルナさんは俺がVTuberをやるきっかけと言ってもいいからな」
:マジで⁉ 初耳
:詳しく聞きたい。
:月宮ルナ✓ え!? 私ですか⁉
「そうなんですよ。俺がVTuberを知ったのは友人から聞いたからでさ、それで気になってVTuberの配信を見てたらルナさんの配信を見つけて、凄い楽しそうに配信してるルナさんを見て俺も始めようと思ったんだよ」
:月宮ルナ✓ えぇ‼ 本当ですか⁉ 嬉しいです!
:ルナちゃんが居なかったら彼方は居なかったのか。
:じゃあ彼方は雫ちゃんだけじゃなくてルナちゃんにも感謝しないといけないな。
「本当にそうなんだよ。ルナさんのおかげで今こうしてVTuberをやって皆と楽しく話しているし、雨宮雫さんのおかげでここまで登録者も伸びてそのおかげでルナさんとコラボが決まったみたいなもんだし」
今コメントで名前が出てきた雨宮雫ちゃんという人はルナちゃんと同様ブイラブに所属しているVTuberで、チャンネル登録者数は百五十万人を超えている。
雫ちゃんは水色の長い髪に白のメッシュを入れており、胸元には雫の形のペンダントが綺麗に輝いている。
雫ちゃんは俺がまだ登録者数が数千人の時に雫ちゃんの『勝手にお勧めVTuberを紹介していく!』という配信で俺の事を取り上げてくれたんだ。
それの影響で俺の登録者数は激増。そして今に至るってわけだ。
:俺も雫ちゃんが彼方の事紹介してなかったら彼方に出会ってなかったかもしれないから感謝だな。
:雫ちゃんも良く彼方の事見つけたよな。
:紹介のされ方は流石に笑ったけどな
:ホラゲーで全くビビらないから人間じゃないって紹介してたよなw
俺はこんな調子で三十分くらい雑談をして配信を切り終えた。
「……ん?」
しばらくすると俺のスマホに一件の連絡が来た。
『星之彼方さん、初めまして! 月宮ルナです! コラボ配信の事でDMさせていただきました!』
初めての推しとのDMに俺は自然と笑顔になった。
絶対に誰にも見せれない表情をしているのは分かっているが、直るはずもない。
「始めまして! 本当に僕なんかがコラボさせてもらっちゃって良いんですか⁉」
『勿論ですよ! あの……通話とかでお話させていただくことって可能ですか?』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます