第2話
「どうしたら、この不況から
逃れられるのかねえ」
「不況のない街にいけば、あるいは」
秘書の苅沢がCEOの小田原に進言した。
「不況のない街」
小田原が反復するように言った。
「あるのかねえ、そんなものが」
「あります。CEOが一歩
後ずされば、そこが」
「エッ」
CEOが後ずさった。
CEOの周りの風景が変わった。
一万円札が乱れ飛び、みんな明るい顔で
買い物をしている。
しかし、喜んだのもつかの間
その風景はすぐに暗く淀んだものになった。
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