第5話
「おお!まさか剣と魔法どちらも才能があるとは!更に勉学においても才能がある!これはこの国の将来も安泰だな、アース!」
「ああ、そうだね。まさかリアムがここまでの才能を持っているなんて僕も正直ビックリだよ。リアム、自分の才能に胡座をかかずにしっかりと才能を開花できるように日々の鍛錬から頑張るんだよ?」
教皇と父上が嬉しそうに話している。どうやら俺には剣・魔法・勉学において才能があるようだ。俺的にはまず初めに魔法その次に剣そして最後に勉学の順で鍛錬をしたいと思う。前世には剣はあったが魔法なんてものはなかった。その為俺に魔法の才能があったら真っ先に練習して使ってみたいと思ったからだ。何の才能も無かったらどうしようと不安になったものだが、ちゃんと才能があってよかった。
「はい、父上。しっかりと鍛錬をしてこの国の皇太子として恥ずかしくないような立派な皇太子になれるよう努めていきます。」
「ああ、頑張るんだよ。」
父上はとても嬉しそうに笑って頭を撫でてくれた。母上は感激のあまり俺に抱きついてきている。正直言って胸が当たって恥ずかしい。実の母親だし、この体はまだ5歳なので流石に興奮はしてこないが、精神的にとてもドキドキするのでやめてほしいのだが、嬉しそうにニコニコしている母上に俺がそんなことを言えるはずがない。よって今も俺は母上の思うようにハグされている。と言うか家族に見られても恥ずかしいのに強硬に見られるのめちゃくちゃ恥ずかしいな。
うん?さっきまであんなに機嫌の良さそうな顔をしていた教皇だが、何かを見た瞬間に顔が引き攣っている。何かあったのか?まさか転生者なのがバレたとか…?それならかなりまずいな…
教皇の表情の変化を見逃さなかった父上が教皇に尋ねた。
「うん?マルクス、顔が引き攣っているけど何かあったのか?」
「ああ、ちょっとな。これを見てくれ。」
まずい、本当に転生者なのがバレたのか、それなら何か父上に説明しないと…
「ち、父上。それは
「何だこれは?マルクス今までこんなのを見たことはあるかい?」
「いや初めてだ。リアム君、君のこの固有魔法が何故こんな表記になっているかわかるかい?」
え?固有魔法?転生してるのがバレたのじゃないのか?
そんなことを考えながら俺は教皇が俺に見せてきたステータスウィンドウのようなものを見る。そこには
「重力魔法・jあgt9d?・ぬ!kt2#at・&2$わ:*」
と俺の固有魔法が本来書かれているはずの場所に、3つ文字化けしている魔法があることが表示されていた。
一体これは何なんだ?周りの様子を伺うに母上、教皇そして父上でさえこれが何なのか理解していないようだ。
「後普通は固有魔法は一人一つではないのかい?何故リアムには4つも固有魔法が表示されているんだろう?そもそも重力とは何のことだい?」
と言う父上の質問で俺は気づいた。この世界の文明は前世の中世ヨーロッパほどである為、そもそも重力という事に対しての理解があまり無いという事、つまり俺はこの世界で知識チート出来るのではないかという事だ。そうなれば一体どのくらい文明を俺の知識で発展させればいいのだろうか?
そんな疑問が尽きない中、教皇が神からお告げをいただいたら、神に向かい感謝を示すことがこの世界での常識だと伝えられた為、教会にある女神の像に向かい片膝をつき、両手を握り合わせて神に感謝をしていると…
『是非とも貴方の知識を使いこの世界の文明を発展させてあげてください。』
そんな琴の様に美しい声が頭の中に直接流れ込んできた。周りを見るが誰もこの声に反応していない。どうやら俺のみ聞こえているようだ。おそらくは神と呼ばれる存在やそれに近しい人類を超えた生物による物だろう。
『貴方の仰る通り、私は俗に言う神という存在です。貴方が何故この世界に転生したのかについては今はお話しすることができないのです。大変申し訳ないのですが、その事についてお話しできるようになったら事情をお話し致します。』
この神の口振からまるで俺が意図して転生させられたみたいだが誰が何を目的に俺をわざわざ転生させたんだ?まあ、本人が今は話せないと言っているし今考えても仕方がないな。一応頭の片隅には残しておくべきだろう。
『そんな何もすることのできない私が言うのは大変心苦しいのですが、貴方の知識を使いどうかこの世界を発展させてくれないでしょうか?』
俺に対して随分都合のいい話だな。だが本人に悪気があるわけでもないし、神でありながら俺に丁寧な口調で話してくることから人柄は良さそうだな。相手が神の場合は神柄か?まあ知らんが神からの願いであるし聞いておいた方が良いだろう。これでいうことを聞かなかったから天罰が降るとか洒落にならんしな。
一つ謎が出てきたな。今すぐに解決できるようなものではないだろうし、時間があるときにでも神話系の本でも読んで調べてみる事にするか。
「じゃあ今日は世話になったね。また近いうちに話そう。」
「ああそうだな、もうすでに次回会う時がたのしみだよ、気をつけてね。」
「ああ、そちらこそ気をつけてくれよ?」
父上と教皇がそんな言葉を交わし、長いようで短かった教会での出来事は幕を閉じる事になった。
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作者のK4Iです。
今日のおすすめの曲はAyaseさんの「幽霊東京」です。おしゃれでいいですよね〜。
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