第4話

「中々にレベルの高い調度品が揃っているな、文明も中世ヨーロッパレベルだし、宗教が前世よりも信じられていると言うことか。」


外見はサクラダファミリア風な教会だが、教会内はステンドグラスがこの教会の威厳を表すかの如く様々な場所の壁に用いられている。しかもそのステンドグラスは適当な適当に配置されているのではなく細かく緻密な作りになっている。

この教会内でもカーペットが敷かれている。この世界ではカーペットが流行ってたりするのか?前世の貴族達で言う宝石や絵画、彫刻品的なのの一つにカーペットが入っているのか?まあ、後でメイドにでも聞いてみるか。


「うん?あいつは何をしているんだ?」


俺が協会内を散策していると俺と同い年ぐらいの修道服のような服を着た白髪の女の子が床に膝をつき必死に何かを探すような事をしている。何か落とし物でもしたのだろうか。


「おい、何をしている。」


「え、えっと、その…」


ふむ、やはりこの口調だと相手に威圧感を与える事になるな。まあ、修道服を着ているから多分シスター見習いだろうしこんな口調でも構わんか。


「なに、俺は今暇をしているからな。お前が何か探しているようだったから手伝ってやろうと思ったのだが、必要ないか?」


俺がそう伝えた途端、目の前の少女は緊張したような青白い顔から少し顔を綻ばせる。今気づいたが、こいつ肌の色も薄いし瞳も白色だな。所謂アルビノというやつなのか?と言うかこの世界にもアルビノという概念は存在するのだろうか?それとも人間に似た別の種族なのだろうか?など疑問が俺の頭に浮かんでくる。これも後でメイドに聞くか、と言うかこの世界の常識について知らない事が多すぎる。家に帰ったら父上の書庫にあるこの世界についての本を読んでこの世界について学ばねばならんな。毎回疑問が出る度にメイドに質問してては時間も無駄になるし、何よりメイドに迷惑をかけてしまうからな。


「あのね、実はお母さんの形見のイヤリングを片方落としちゃって探してるんだ。ちょっと前に無くしちゃった事に気づいて探し始めたんだけど見つからなくて。他のみんなに迷惑かけたくないし1人で探してたんだけど…」


先ほどまでの嬉しそうな顔から一転して、少女は泣きそうな顔になった。正直言って泣かれるのは面倒臭いな。後、もし誰かに見られたら俺がこいつを泣かせてるみたいになるし、やめてほしい。


「無くしたお前の母親の形見のイヤリングは今お前が右耳につけているものと同じもので良いのか?」


彼女の右耳には細部にまで拘って装飾がされているピイヤリングが付けられている。見た感じだが、金で作られているのだろう。また、黄色のトパーズのような宝石が付けられている。見た目的にかなり高価なものだろう、庶民目線で行くと。俺は王族だからこれぐらいが普通だと感じてしまうが、前世の価値観で行くとかなり高価なものだと作りからしてわかる。少なくとも前世の俺では手が出せないほど高価だ。


「うん。右につけてるのと同じだよ。」


こくんと頷きながら答える姿は中々に可愛らしいな。こいつもとんでもない美少女だし。


「と言うか、お前名は何という?」


お前お前いうのも面倒臭いしな、と思い俺は彼女に聞いた。


「私はね、マナって言うんだ。だからマナって呼んで。ところで君は何で言うお名前なの?」


俺とした事が相手に聞いていながら自分の名を伝えていなかったとは失態だな。


「すまぬな、伝え忘れておった。俺の名はリアム、リアム・クロフォードだ。覚えておけ。」


まあ、多分マナのイヤリングが見つかったら2度と関わることはないだろうがな。


「!ク、クロフォードってこの国の王族のあのクロフォード?もしかしてリアム君って皇太子様?」


「先ほどまではタメ口だったが故に、今更敬語で話されると違和感が凄い。だから、タメ口で俺と話すことを許そう。光栄に思うが良いぞ。」


まあ、あんまり良くはないと思うけど1人2人ぐらいなら問題ないだろう。さっきも思ったように関わることはもうないのだから。


「いいの?ほんとに?これで私が敬語で話さなかっなら不敬罪とか言わない?」


「諄いぞ、同じことを2回も言わせるな。同じことを何度も言わせてくるでない。」


「ご、ごめんね。分かった、ありがとうリアム君♪」


廊下の壁にかけられている時計を確認すると俺が客室から出てからおおよそ30分、そろそろ探し始めないと時間が厳しいか。因みにこの世界の時間は前世と同じだ。60秒で1分、60分で1時間、24時間で1日、365日で1年となっている。この世界は中世ヨーロッパレベルの文明なのだが、なぜか時計があったりと技術が進んでいるものもあるが、どうやらこの世界には魔法が存在するらしいし、これにより一部のものの技術の発達が中世ヨーロッパに比べて進んでいるのだろう。


「マナ、お前はこの廊下の奥側から探せ。俺は手前側から探してくる。」


「うん、わかった。」


少し急ぎめに探さないとな。これで父上達を待たせるのも良くないしな。

と言うか俺の将来がこの後すぐに決まると言っても過言ではないのではないだろうか。何故ならばこのお告げで俺に剣の才能があると分かれば俺はこの先剣技を磨いていくだろうし、魔法に才能があれば魔法を学ぶ事になるだろう。また、学問や勉強系の才能があればこの先は魔法や剣の練習はすることはなく、学問を極めていく事になるだろう。


そう考えると少し緊張してきたな。まあ、父上と母上の俺への溺愛っぷりは誰の目から見ても明らかだし、何の才能がなくとも俺のことを今までと同じように愛してくれるだろう。だが、あれだ俺のことを大切に思ってくれる両親だ。親孝行は出来る限りしたいから出来れば何か一つでも才能があればいいな。もし何の才能もない場合は俺が無能皇太子みたいな字名を付けられることはほぼ確定として、父上や母上まで無能皇太子の息子を持つ帝王とその妻という大変不名誉な呼び方をされてしまうだろう。むむっ、そうなればかなりまずい事になるのは明白だな。今俺がどれだけ願っても無駄かもしれないが、両親のためにも何かしらの才能がないと困るな。

そんなことを考えながらマナのイヤリングを探したが俺の受け持った捜索範囲には落ちていなかった。となるとマナの捜索範囲内にあるのだろう。俺の受け持っていた捜索範囲は探したし、彼女が見つけたか確認するか。

地味に長いんだよなこの廊下。俺達は廊下のそれぞれの端から中央に向かって探していた為、マナの元へ向かうのために歩く距離が地味に長い。


「マナ、こちらには無かったがお前は見つけたか?」


俺はそう何気なく聞いてから後悔した。


「うんうん、まだ見つかってないよ。やっぱりそっちに無かったんだね。も、もしかしたら…」


彼女は目に涙を溜めて、だが必死に泣くまいと涙を堪えて俺に現状を話した。


もし彼女がイヤリングを見つけていたら俺に伝えにくるはずだ。だから彼女が俺に伝えにきていない時点で彼女はまだイヤリングを見つけていない。少し考えればそうわかるはずだ。何故そんなことも気づいてやれなかったんだ。

絶対に彼女のイヤリングを見つけなければならんな…

だが少ししんみりしたこの空気が気まずい…話でも振りながら探すか。


「そうか、まあまだ時間は十分ある。そう焦るな、いずれ見つかる。」


嘘だ。もうそろそろ俺への神のお告げを下す時間が始まるだろう。流石に俺が部屋を出てから1時間半経っている為、まだまだ話す事があってもまずは用事を片付けてから、となるはずだ。


「うん、そうだよね。ありがとうリアム君。」


「いい、気にするな。ほらさっさと探すぞ。」


「うん!」


俺はマナのイヤリングを探しながらふと気になったことをマナに問う。


「そう言えばお前は今いくつだ?」


「私は今6歳だよ。そう言うリアムは何歳なの?」


マナは俺よりも年上なのか?正直5歳も6歳も見分けがつかん。だがてっきりマナは俺よりも年下だと勝手に思っていた分、かなりびっくりしている。


「俺は今5歳だ。お前の方が年下だと思っていたがまさか俺の方が年下だとはな。」


「えっ、リアム君って私よりも年下なんだ。凄いかっこいいし優しくて頼りになるから年上だと思ってた!って5歳ってことはこの教会に来たのってもしかして、」


「細かいことは気にするな、さっさと見つけるぞ。」


いらん事に気づいたな。マナは6歳児なんだから細かいことは気にせず自分のイヤリングを見つけることだけに意識を集中させていればいいのにな。


「うん!絶対見つけようね!」


「ああ、任せろ。」


それからおおよそ30分後…


「マナ、お前の母親の形見のイヤリングってもしかしてこれか?」


念の為もしかしてと疑問形にして聞いたが、マナの右耳についているものと全く同じだ。今回探していたイヤリングはこれで間違い無いだろう。


「うん!これだよ!見つけてくれてありがとうリアム君!」


彼女はそう言って俺に抱きついてくる。母親の形見のイヤリングが見つかった事で気分が高揚していているのだろう。見つかった時の彼女の花のような笑顔が凄い可愛かったことは内緒だ。

と言うか彼女は俺よりも年上なら神のお告げによって自分の才能を知っているはずだ。彼女はどんな事に才能があるんだろう、気になるな。


「なに、気にすることはない。それよりもお前は神に自分にどんな才能があると告げられたのだ?」


「私の才能はね


「リアム!ここにいたのか、もうリアムが神にお告げをいただく番だよ。早く行こう。それと話が長くなってしまってすまなかったね。」


「ちょっ、ちょっと父上!待って!」


「まあまあそんなに拗ねないでくれよ。さあ行こう。」


「ああ、ちょっと…」


「バ、バイバイ?なのかな?また会おうね。」


そういつまでマナは手を振って父上に引きずられていく俺を見送ってくれた。多分もう会うことはないだろうけど社交辞令みたいなもんだろ。


「ああ、また今度会った時にお前の話を聞かせてくれ。」


俺がそう伝えるとマナは顔を赤くして、こくんと頷いてくれた。


ああ、どうせだったらちゃんとお告げのこととか聞いとけばよかったな…



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作者のK4Iです。

最近家庭環境が大荒れしていて、かなり小説を書く時間がありません。元々更新頻度は遅い方ですが、かなりまずい状況に身を置かれています。また、それによってストレスとストレスによる耳鳴り、眩暈、倦怠感、などがあり誤字脱字が酷いかもしれません。その場合にはコメントで教えていただけると幸いです。

因みに今回はVaundyさんの「不可抗力」を聴きながら電車内でずっとお話を書きました。

僕の高校家から遠すぎて通学に片道1時間半かかるんですよね。その間は大体小テストの勉強をしていますが、平日の塾の帰りとかに時間見つけて書いています。


少しでもこのお話が面白いと思いましたら、応援や、フォローや⭐︎、ハート、コメントよろしくお願い致します。

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