第3話
俺たちが王城を出発して15分くらいで教会へ着いた。
どうやら王都内にある為、この国で一番大きな教会なようで、俺は教皇直々によってお告げを伝えてもらうらしい。理由として、父上と教皇が学園時代からの友人らしく、父上としても教皇なら安心できるからだそうだ。また、聖女とかもいるらしいが、今のところでは関係ないだろう。と言うのもこの世界ではどの国でも貴族や大商人、才能のある平民たちが12〜18歳のうちには学園で学ぶことになっている。俺の世代の聖女が貴族かどうかは知らんが、平民でも聖女が学園に来ないと言うことはないだろう。その為、いずれ関わる人物かもしれないが、今わざわざ顔を見なくともどうせ数年後には学園で顔を、合わせる可能性が高いのだから別に今わざわざ顔を合わせようとしなくていい訳だ。
後、もし俺が聖女の顔を見たいと父上に言った時に父上が何か勘違いして俺が聖女に対して恋心を抱いていると勘違いされて、無理矢理許嫁の関係などにされたら聖女が可哀想だ。いくら俺の顔が整っているからと言って、好きでもないような男がいきなり許嫁になったらたまったもんではないだろう。
「皆様、教会へ着きました。」
ぜルースが馬車の扉を開けたので、俺たちは馬車から降りた。
この世界は文明的には中世ヨーロッパレベルだが、この教会は他の周りの建物に比べてレベルが違うな。前世のサクラダファミリアのような外見だ。
「やあ、よく来たね。アースとメイ。久しぶりだね。その子が君たちの子供のリアム君かな?」
「おいおい私たちは王族だそ?そんな無礼な口を聞く輩は処刑する事だってできるぞ?」
と、父上は言っているが多分するつもりなんて一切無いのだろう。何故なら口元がニヤついていてとても楽しそうだ。因みにメイと言うのは母上の名前だ。母上とも教皇は学友だったらしい。
「あはは、私は君に処刑されてしまうのか。確かに君がそうしようと思えば出来るのか。」
「お久しぶりですわ、マルクス。最後にお会いしたのは確かリアムが生まれるちょっと前だったかしら?」
「ああ、確かそのくらいだよ。5年と少しの間ぶりだね。」
父上、母上、教皇の3人がとても楽しそうに、そして懐かしむように話している。そんな中俺は空気を読んで口を挟まない。これが出来る男の子処世術だ。
「お待たせしたね、リアム。マルクスに自己紹介をしてくれるかい?」
「はい、父上」
俺は教皇の方へ体ごと向け、教皇と向き合う形で自己紹介を行う。
「初めまして教皇殿、私がリアムです。本日はよろしくお願いします。」
「ああよろしくね、リアム君。僕はマルクスだ。まだ幼いのにしっかりしているね。」
前世の癖が出て丁寧な話し方になったが、この世界では前世よりも聖職者の身分が高いし、教皇に対して敬語を使っても王族の威厳がどうちゃらこうちゃらと言われることはないだろう。
「立ち話もなんだ。中に入ってくれ。シスター達、お客さん達の為に紅茶を入れてくれ。」
そうして俺たちは豪華な客室へと案内された。
「それであの時にーーー」
「いやいやそれはーーー」
客室に案内されたがいいが、俺たちが客室へ案内されておおよそ1時間が経っている。だが、父上と教皇の話はまだまだ終わりそうにない。まあ、5年間会ってないらしいし、無理もない事だろう。だが、これ以上ずっと椅子に座っているのも癪だし暇だ。
「母上、父上と教皇殿の話がまだまだ続きそうですし、その間この教会を散策してもいいですか?」
「あら、確かに少しばかり話が長いわね。マルクス、リアムちゃんがあなた達が話してい間、教会内を探索したいって言ってるのだけどいいかしら?」
「ああ、すまないね。もう少し話したいことがあるし、全然構わないよ。こちらこそ話が長くなってしまって申し訳ないよ。」
「だそうよリアムちゃん。行ってらっしゃい。私はここにいるから何かあったら私を読んでくれればいいわ。」
よし、やっと暇な時間から解放される。もう少し時間がかかりそうだし、細かいところまで見ておくか。こんな機会はそうないだろうし。
「ありがとうございます、母上。では早速行ってきます。」
こうして俺は客室から出て、教会内を散策することにした。
この選択が後々いい意味で大きな事になるなんてことを俺はまだ知らなかった。
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作者のK4Iです。
僕は遅筆なので更新頻度が低いですが、11月の頭の方と、最後の方にテストがある為、もしかしたら今よりも更新頻度が落ちるかもしれません。その場合だと、12月頃までは更新できなくなります。申し訳ありません。
今回はEVEさんの「狼虎来」を聴きながらこのお話を書かせていただきました。
この歌なのですが、読み方が「ころろん」とあまり初見では読むことのできないような名前となっています。ぜひおすすめですので聞いてみてください。
少しでもこのお話が面白いと思いましたら、応援や、フォローや⭐︎、ハート、コメントよろしくお願い致します。
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